通信研究会

機関誌 逓信「耀」 シリーズ 「政策を問う」

2013年10月号 第29回
柘植芳文参議院議員に聞く!

郵政グループ会社の方向性を明確に
崇高な理念を取り戻し 郵便局の存在価値を高めよう


 郵政グループ、郵政事業が民間企業にあってどういう立ち位置を取るのかが明確になっていない。政治も郵政事業はこうやっていくべきだという方向性を明確に示していない。

 ユニバーサルサービスという公共性の高いものを政府が日本郵政グループに課したことは、ものすごく重いことである。国が大きく関与することの重さは意義があることだし、私たちから見ればもともとそういう形の民間企業はあり得ると思うのだが、そうじゃないという考え方の人もいる。郵政グループの企業理念をいち早く統一し、グループ全体としてベクトルを合わせることが今最も求められていることだと思う。

 とりわけ、日本郵政の傘下にある日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の経営の方向性が早く一体となってくるようにしなければならない。

 ユニバーサルサービスは極めて大きな課題であるので、結果的には社会政策でやるしかないと思う。これは政治が決めたこと、つまり国民の皆さんが決めたことなのである。ユニバーサルサービスコストの負担で経営がおかしくなるのでどうしてもやれないというのなら、政治の場にもう一回この問題を戻すべきだ。そうしないと働く社員も経営者も可哀そうだ。そこの部分の政治への訴え方がどうも郵政グループ会社には不足している。

 郵政事業は素晴らしい資産を持っている。一つは全国の小学校区にほぼ一局ある郵便局ネットワークの強み、もう一つは、局長さんたちが持っている能力の高さ、それと今日まで地域の方々から寄せられている郵政事業への信頼の高さ、この三つはかけがえのない財産である。郵政事業が国や地方自治体の中で活用されながら、なおかつ自分たちの企業としてのパワーをアップさせて自立していけるか、この道を模索することが大切だ。

 そのためにも郵政グループ会社のビジネスモデルをいち早く明確にすべきだ。民間会社と全く同等な企業としてチャレンジしていくのか、公的使命を帯びた民間企業という新しい日本のビジネスモデルをしっかり構築して、そこに向かって進んでいくのか。このことを決めれば、自ずとゆうちょ銀行、かんぽ生命の会社の方向性が定まってくると思う。