通信研究会

機関誌 逓信「耀」 シリーズ 「政策を問う」

2011年2月号 第20回 衆議院議員 奥野総一郎先生に聞く!

郵政改革法案の成立で
三事業一体を法律上担保、経営の自由度を追求


 郵政改革法案の理念は、大きく二つあると思う。一つは、三事業一体を法律上担保すること。今は株式売却を一時的に凍結しているだけなので、いつまた再開されて三事業がバラバラにされるかもしれない。きちんと資本関係を持ち、三事業一体としてグループ経営していくことによって、税金を投入しないで事業が運営できるようにしなければならない。

 二点目は、より経営の自由度を追求していくことだ。民主党は必ずしも民営化を否定したわけではない。三事業を切り売りしバラバラにしていく小泉民営化を否定しているのであって、民営化のプラスの面もある。私は公社法の作成に携わった経験があり、解説書なども書いているが、今日の姿をある程度予測していた。一つは郵便物数が大きく落ち込んできていること。かつては年間二百五十億通あったものが、今は二百億通に減少している。郵貯の残高についても一時は二百六十兆円あったが、定額貯金中心ではそうした状況は続かない。

 郵便物数や郵貯の資金量が減っていく中、自らの企業努力で安定した経営ができるよう、経営の自由度を確保していく。そうすることで、従来通り税金を一銭も投入しないで郵便局ネットワークを維持していくことができる。

 それが今で言うところの「新しい公共」だろう。郵便局ネットワークによる公共サービスを税金の力を借りずにやっていく。そのことをきちんと担保するのが郵政改革法案のポイントである。