通信研究会

機関誌 逓信「耀」 シリーズ 「政策を問う」

2010年9月号 第16回 経済産業副大臣 衆議院議員 松下忠洋先生に聞く!

わが国経済・産業の動向と郵政改革法案の意義


 小泉内閣は、平成16年9月10日、郵政民営化の基本方針について閣議決定した。明治以来の大改革である郵政民営化は、国民に大きな利益をもたらすというのがうたい文句だ。その柱が3つある。1つは、国民の利便性を最大限に向上させる。2つ目は、「見えない国民負担」が最小化され、それによって利用可能となる資源を国民経済的な観点から活用することが可能となる。そして3点目は、専ら郵貯であるが、公的部門に流れていた資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を経済の活性化につなげることが可能になる。これが小泉内閣の約束だった。ところが民営化されて利便性は悪くなったし、分割されて地域の要望をいろいろ聞いて地域を活性化することも出来なくなり、郵貯の資金の90%は国債にいってしまって、民間に流し経済の活性化につなげることはほとんど不可能だ。

 郵政民営化はそもそも制度設計に問題がある。分社化されたことによって会社間の連携がとれなくなり、分割ロスが生じ、さらに離島や過疎地域にある郵便局は、分社化で活動が制限されお金もないから活動が十分にできない。これでは郵便局が潰れてしまう。そういうことがないように5社体制を3社体制に戻し、郵便局と金融部門が一体になって動けるようにする。そうすることにより民間に資金が流れ、地域経済も活性化することができる。