一般社団法人 通信研究会
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郵政事業も競争社会に入っている。だが、競争だけではうまくいかない部分とどのようにバランスをとっていくかが大事だ。政府が日本郵政の3分の1超の株式を持ち、日本郵政は傘下の金融2社の3分の1超の株式を持つことになるが、かつての国営事業に戻すわけではない。民間の会社として競争しながら、一方で国民の皆さまのユニバーサルサービスをどのように維持していくかがポイントだ。国民にユニバーサルサービスの負担を求めるのではなく、3つの会社が一体となってカバーしていくとの考え方である。
その点、金融部門のユニバーサルサービスとその負担ということは難しい問題だった。いわゆる民間の金融会社と日本郵政傘下の金融2社とのバランスをどのようにするかが、連立政権の中で一番腐心したところだと思う。
郵便も郵貯、簡保も競争ということに重点を置き過ぎ、公共性を無視したら地域格差は広がるばかりだ。郵政事業の公共性を重視し、ユニバーサルサービスをどのようにカバーしていくかが今回の郵政改革法案の骨子である。この点、小泉内閣が進めた郵政民営化はいっさい公共性を無視しようとしたところに欠陥があり、根本的な間違いがあった。
競争とユニバーサルサービスの確保をするために、どのように政治が関わっていくかを考えなければならない。根本的な思想を踏まえたうえで野党ともしっかりと協議をし、郵政改革法案を一刻も早く成立できるよう努力していくべきだと思っている。