通信研究会

機関誌 逓信「耀」 シリーズ 「政策を問う」

2009年2月号 第4回 前衆議院議員  津島恭一先生に聞く!

守るべきは三事業一体経営 利用者無視、地方無視の民営化法を徹底見直し


 民営化法で郵便局株式会社は受託手数料で運営されることとなっているが、それに対する法的担保もなく、不採算の郵便局が潰れてしまう危機感の方が強い。

  高齢化、過疎化を抱える地方は最も深刻だ。農協・漁協はどんどん統廃合が進められている。銀行も地方から支店を撤退している。地方住民が金融機関として唯一頼りにしているのが郵便局だ。

  私はいろいろな郵便局を1年以上も視察した。青森に尻労(しっかり)という所がある。およそ150世帯しかない、中山間地にあり、高齢化が進んでいる地域だ。生業は漁業ということだが、漁協は撤退して今はない。唯一残っているのは2人局の郵便局だけだった。万が一、郵便局がなくなったら町まで行かなければならない。往復10キロ近くもある。年金をもらいに行くにもバス代と労力を要する。お年寄りには一日がかりの用事となる。私はその時、何としても郵便局を守っていかないと地方は大変なことになると実感した。

 集配郵便局は1000局減ったというが、机上で地図を広げて局間の距離だけで減らしたのではないだろうか。山あり谷ありの地域もあり、そういうリスクを負った地域の集配は本当に大丈夫なのだろうか。

 どう考えても、郵政民営化法は地方無視、利用者無視の悪法と言わざるを得ない。まったく地域の実情に合わない民営化だ。