通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2024年5月号 一橋大学名誉教授・武蔵野大学経営学部特任教授
         郵政民営化委員長 山内弘隆先生に聞く

日本郵政グループに求められるのは戦術ではなく戦略
公的サービスに対する時代・環境の変化も踏まえて対応を


――郵便局と自治体の運営のあり方について、お考えをお聞かせください。

 郵便局のユニバーサルサービスというのは、それだけで成功が見込めるものではなくなっています。それは自治体も同様で、人手不足、財源不足という問題に直面しています。そうしたなかで、郵便局が自治体の提供するサービスのお手伝いをすることの必要性は大きいと感じます。
 自治体業務の受託とかマイナンバーカードの申請支援などを請け負うのも郵便局の重要な役割です。地域で行政の一部を郵便局が担っていくことは重要だと思います。ただ、郵便局も事業採算的に厳しいわけですから、自治体業務を受託するのもいいですが、管理会計の面でいえば難しい面もあります。そこの負担を委託手数料とし自治体だけに負わせることは現実的ではないので、国からも交付金などで支えてもらうような仕組みが必要だと思います。