通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2022年10月号 郵政民営化委員会委員長代理に聞く 関口博正 神奈川大学経営学部教授

郵便局はデータ活用など一層の利便性向上を


――郵便局と地方自治体との包括連携協定を締結する動きが広がっています。こういう包括事務受託の流れをどう見ていますか。

 いわゆる限界集落が驚くほど多くなってきていて、そういうなかで郵便局ができることは全てやったらいいと思うし、行政事務を受託できるのであれば積極的にやったほうがいいと思います。ただ現実的には今のところキヨスク端末のマルチコピー機を設置と同等のサービスが対面でも可能になるなど、素朴な改善に留まっているのではないでしょうか。公社時代であればもっと話は進んでいたかもしれません。それにしても、これから郵便局も行政もお互い助け合わなければいけないような局面では、できる範囲で最大限のことをやっていただくことが必要だと思います。
 「地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律」の改正等を受けて、転出届の受付、転出証明書の引渡し、印鑑登録の廃止申請の受付及びマイナンバーカードの電子証明書関連事務、代理人による請求の受付が取扱可能となりました。
 今後行政サービスは、対象とする住民がどんどん減っていくなかで、一定の水準を維持することは決して簡単なことではなく、他の分野の人たちに協力を求めるような協調関係がどうしても必要不可欠だと思います。2019年に長野県泰阜村の支所業務包括受託から始まったこのような流れに今後とも期待してきたいですね。