通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2022年8月号 政治評論家 森田実先生に聞く

令和4年夏の参議院議員選挙と
今後の外交・安全保障戦略(下)


――ロシアによるウクライナ侵攻が世界に何をもたらしたのか。

 戦争の論理が社会の論理、世界の論理になりつつあります。これは重大なことです。政治指導者の理性が維持されれば平和は維持されると思います。しかし理性が崩れて狂気に走ったら、平和は維持できません。いま世界には狂気が支配しつつあります。即時停戦だとか停戦を先にしようと言いながら実際には行わず、現実には各国の政治指導者は、戦争を長期化させようとしています。こうした中、テレビでは朝から晩まで戦争のニュースが流れています。確かに悲惨なことです。同情的な発言も多くありますが、しかし人が殺されている、そして殺された人までテレビの画面に映るというのは人間社会の冷静な理性を奪っていきます。これが戦争の時代の恐ろしさです。
 私は常に言っているのですが、「戦争の時代には狂気が支配的になる。平和の時代には理性が支配的になる。だから平和の時代のほうが良いのだ。政治には理性が大事だ」ということです。理性の政治が崩れつつあるところに、今の最大の危機があります。人類にとって最も大切なものは平和です。戦争だけはしてはならない事です。