通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2022年1月号 柘植芳文参議院議員に聞く

郵便局がデジタル化にコミットし、新ビジネス構築
日本郵便はグループの基軸、気概と誇りを持とう


――日本郵政グループ中期経営計画「JPビジョン2025」には、お客さまと地域を支える「共創プラットフォーム」を進めることが打ち出されています。リアルとデジタルの融合を目指すことや新たなビジネスの需要を発掘することなどがうたわれていますが、デジタルとリアルをどのように融合して郵便局ネットワークを発展していくべきとお考えでしょうか。

 「共創プラットフォーム」の考え方、さらにリアル郵便局とデジタル郵便局の融合についても方向性としては正しいと思っています。郵政事業、郵便局のあり様が今のままでベストだとは思っていませんので、デジタル技術を取り入れながら新しい価値を創り出さないと郵便局の存在意味がなくなってきてしまいます。地域の核となっている郵便局の事業に行政や地場産業をどう組み込んでいけるか、その時にデジタル技術をどう活用していくか、リアルの郵便局のあり方はどうしていくかというのが大事なポイントです。
 もう一つは、郵便局がデジタル化にコミットしながら新しいビジネスモデルを構築できないかと強く感じています。令和3年9月にデジタル庁が発足しましたが、組織体制の中で「国民向けサービスグループ」があります。そのグループでは「健康・医療・介護分野」「教育分野」「防災分野」「地方活性化分野」「その他重要分野・サービス」を担っています。これらの分野・サービスはすべて郵便局を絡ませることができますので、このグループとの間でどのようにデジタル化を推進していくかを考えてほしいと思っています。デジタル庁は「誰一人取り残さない、人々に優しいデジタル社会」の実現を掲げていますが、それは公民館でパソコン教室を開催するような話ではなく、例えば、一人暮らしの高齢者の方が家の中でボタン一つ押せば健康状態を知らせることができる、あるいはボタン一つで買い物の注文ができるというようなものだと考えます。そういうデジタル化には、郵便局と結び付けて進めていければよいと思うのです。そこに新しいビジネスが生まれるとするならば、郵便局が一つの受け皿になれるような形でデジタル社会に寄与していくことが大事でしょう。デジタル庁と総務省と日本郵政グループでプロジェクトを組んで、何ができるかを検討していく考えもあるようですので、大いに期待しています。