通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2022年1月号 武田良太 前総務大臣に聞く

郵政の蓄積データを有効活用、新たなビジネスモデルを構築
社会福祉の一翼担う郵便局、今後も国民に寄り添う気持ちを


――地方創生施策も二期目に入り、郵便局もそれぞれの自治体や地域社会の中で取り組まれていますが、地方創生施策の今後の方向性について、先生のお考えをお聞かせください。

 地方創生で忘れてはならないのは、新しいことを企てる前に今ある地方を守り抜いていくことが原点です。ユニバーサルサービスを提供する全国津々浦々に展開する二万四千の郵便局ネットワークは、地方を繋ぐひとつの絆になっています。この郵便局ネットワークを地方で暮らす地域住民の生活に密着させる努力は民営化によってだんだん遠のいてきたと感じますし、過疎化に伴い郵便局の利用者数も減少してきていることと思います。こうした中、地域との密着をさらに高めるためには、行政も巻き込んだ上で新たな地域社会づくりに郵便局がしっかりコミットしていかなくてはいけません。
 現在、郵便局では行政事務の包括受託を進めていますが、これは非常に良いことです。支所等を維持していく行政のコストをかなり節減できますし、郵便局にも利益が出ます。過疎地においては行政サービスの維持に繋がりますし、ひいては国民の血税の有効利用にも繋がります。
 また、行政事務だけではなく、例えば携帯電話の加入手続きを郵便局窓口で出来るようにすることも良いことだと思います。郵政事業だけではなく、国民生活に密着したすべての公共的なサービスの窓口としてウイングを広げていくことが新たな郵政事業の姿なのではないかと考えています。地方から金融機関等の撤退が相次ぐ中、郵便局の役割は今まで以上に大きくなってきています。郵便局ネットワークの最前線である窓口サービスをしっかりとウイングを広げていくことはとても大事なことです。