一般社団法人 通信研究会
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――デジタル化が進むなか、日本企業における現場力は今、どのような状況になっているのでしょう。
DXと現場力は水と油のような感じに思われるかもしれないけれど、結局、DXだけでは絶対に競争に勝てないということを多くの企業が気づき始めた。逆に言うと、デジタルの時代だからこそ現場力が大事なのだということを認識し始めたわけである。ポイントは、現場のアイデアを形にするためにデジタルを使うということ。デジタルという武器は本社が持つものではなく、現場に与えなくてはいけない。そこがよく分かっていなくて、デジタル化を進めれば何か生み出せるのではないかと勘違いしてしまう。
現場力が高い組織はデジタルを武器にどんどん現場力を高め、逆に現場力が低い組織はデジタルを使いこなせず、生産性もサービスの中身もよくならない。デジタルという武器を賢く使いこなせる組織と使いこなせない組織と二極化されている。そういう点からも、もう一度現場力を鍛えないとデジタル化そのものも進まない。
例えば、スマホ一つをどう使うかによって現場力は大きく変わる。賢い組織は自分たちでアプリケーションを作って、ものすごいスピードで情報共有を行っていく。システム化のように本社にオーダーして「こういうシステムを作ってほしい」ということではなく、現場だけで作れてしまう。ただし、デジタルリテラシーが高くないと使いこなせない。
そこでポイントになるのは、二〇歳代の社員。彼らはデジタルネイティブ、生まれた時からスマホがあり、SNSの利用は当たり前。彼らこそがデジタルリテラシーを高めるための一番の知恵袋なのだが、ほとんどの企業は若手社員のデジタルリテラシーを活かそうという認識を持っていない。