通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2021年5月号 石井晴夫東洋大学大学院経営学研究科客員教授に聞く

郵政事業の原点は地域密着、お客様目線 ビジネス戦略と組織マネジメントの乖離是正を(下)


――地方創生施策における郵便局の果たすべき役割についてお聞きします。

 私は、地方創生よりもむしろ、その先を行く「地域創造」に転換する必要があると思っています。創生というのは新しいものを生み出していくことですが、生まれたものを地域に適合したものに成長させなくてはいけません。生まれた後は自分の好きにやってくださいではなく、しっかりと育てていくことが大切です。つまり、地域を創造することが郵便局長さんの役割なのです。地方創生から地域創造へいち早く転換するよう強く訴えたいと思います。そうすると何が必要かが分かってきます。まさに地域ニーズを明確に把握するということです。地域ごとにニーズが違いますから十把一絡げでは駄目なのです。それぞれの地域にあったものを作ってあげる。ただ、長年郵政の研究をしてきて思うのですが、郵便局長さんも毎年かなりの人が定年等によって交代されています。私の周囲でも、退職される局長さんには今後も郵便局の支援者として大所高所からいろいろな形でサポートをしてくださいとお願いしていますし、新しい局長さん方には方には私たち外部者も積極的にサポートしますと話しています。