通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2021年3月号 柘植芳文 参議院議員に聞く

郵便事業の持続的な発展に向け 公益主義を中心に 郵便局の一律的発想から脱却し、カテゴリー別に事業展開を


――昨年12月地方分権改革推進本部が開催され、郵便局で取り扱う地方公共団体事務の拡大について閣議決定が行われ、今国会で郵便局事務取扱法が改正される流れですが。

 郵便局で取り扱い可能な地方公共団体の事務が拡大され、転出届の受付・印鑑登録の廃止申請の受付等の事務が追加されることとなりました。この追加事務とともに納税証明書、戸籍謄本等の交付請求の受付等については代理人による届出の受付等の取り扱い(代理請求)が可能となります。郵便局が地方の行政の補完をしていくことは、郵便局の役割の一つだと思っていますので、今後も事務拡大への取り組みを進めていただきたいと思います。郵便局が地方行政と一体化をしながら地方自治体との連携を密にしていかないと、郵便局の生き残る道はないと民営化当時から申し上げてきました。私は「地方自治体との業務提携」という言葉を使っていたのですが、業務提携をしながら地方自治体や過疎地の郵便局がどう関わっていくのか、そこに暮らす住民に対してどういうサービスを提供していくかを考え、結果的にウィンウィンになれればよいと思います。地方自治体との業務提携はあくまで郵便局のブランド力の向上とネットワークの必要性を世に問う取り組みであり、そこで信頼を得ることが大事なのです。地方の丸型ポストで信頼を得て、都市部の四角いポストでつないでいく。郵政事業は公益事業を基軸としているのか、収益事業を基軸とするのか、この分岐点にもなり得る取り組みです。日本郵政の増田社長は、公益主義が日本郵政グループの仕事の本質だということをよく話しています。それ以前の郵政各社のトップは収益主義です。今ようやく日本郵便も地方創生の取り組みの重要性を言い出しました。これは郵政事業の将来のかたちづくりのベースになっていくと思いますので、さらに力を入れて取り組みを進めてほしいと思います。