一般社団法人 通信研究会
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――郵便局を取り巻く課題のなかに、ユニバーサルサービスコスト負担の問題もあります。昨年は独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構を通じた、いわゆる拠出金・交付金制度がスタートしました。
どこまでがユニバーサルサービスコストであるのか、実はなかなか難しい問題です。一方、過疎化、人口減少が進んでいく中で、ユニバーサルサービスを提供する価値は相対的に高まってきます。ましてや、地方では町村の支所や出張所が統廃合され、JAも店舗を閉じ、民間金融機関も撤退する。そうしたなかで、郵便局が地域に存在し続けることの価値は非常に大きいのです。逆に言えば、周りに地域を支える担い手がいなくなれば、相対的に郵便局の価値が高まるわけです。ユニバーサルサービスの価値というのは、人口が増えている時代にはあまり目立たなかったかもしれませんが、人口減少、少子高齢化が進んでいる今こそ本当にその価値が高まっていると言えます。
――まさに残存者利益ですね。郵便局はユニバーサルサービスの提供義務が課せられていることもあり、地域からは最後まで撤退をしないと頑張っておられます。
そうですね。単にコストだけを考えて事業運営を行っていくのはいけません。長年にわたり地域の皆様の暮らしを支えてきたわけですし、様々な組織がどんどん撤退をしても、各集落には暮らしている方がおられるわけですから、撤退をせずに最後まで頑張っていかなくてはなりません。もちろん、公助として公共サービスがしっかりと提供されることが大事ですが、そこには限界もあります。
先の臨時国会で、北村地方創生担当大臣に質問したのですが、内閣府が「小さな拠点づくり」に関して市町村に対してアンケート調査を行った時に、中山間地等での集落単位のエリアに立地する施設としてどのようなものがあるのかを調査したところ、最も多かった回答がバス停留所、二番目が郵便局、三番目が食料品・日用品販売店でした。中山間地、とりわけ過疎化、高齢化が進むような地域では、地域住民の暮らしを支える存在として、身近に利用できる移動手段であるバス停、生活必需品を提供する食料品等にあわせて、身近に利用できる通信あるいは金融機関としての郵便局の役割が極めて重要だということです。スマホで、通販や多くの金融サービスを利用できる時代になっても、身近に利用できる郵便局は地域住民にとってかけがえのない存在だと思われているのです。当の郵政グループがこの価値に気づいていないのかもしれません。周囲の機関がどんどん撤退するなかで、更に郵便局のサービスに磨きをかけていけば、企業価値はさらに増していくことと思います。
――郵便局が地域での存在感を示していくためにも、自治体との関係をしっかりと構築しなくてはいけないでしょう。
一番重要なことだと思います。地域を支えるには、公助・共助・自助のバランスを取っていくことが重要です。なかでも、公助と自助をつなぐ共助の役割は非常に大きく、そこに郵便局の役割があるのではないかと思います。地域をつなぐ、人をつなぐ役回りを果たせるのが郵便局です。