通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2016年11月号 前内閣官房郵政民営化推進室長・郵政民営化委員会事務局長

利根川一氏に聞く(上)
郵政民営化委員会の役割・「意見」・「所見」・「地域社会と郵便局の関係」等々


――平成二十四年四月二十七日に改正郵政民営化法が成立しましたが、それ以前の民営化法の下で分社化の弊害やサービスの低下といった問題が生じました。当初は郵政改革法案が出されたわけですが、その後、三党合意で改正法に変わったなかで、郵政の在り方の議論も活発に行われました。特に西室委員長時代は委員会が月に二回も開催されたこともあるなど、非常に活発な議論が展開されてきたと記憶します。

利根川 そうですね。民営化委員会は基本的には受け身です。つまり、日本郵政グループや行政庁から何をしたいのかを提示してもらって、それについて郵政民営化法の趣旨を踏まえて判断し、意見を述べることになります。その際に最も大事にした視点が、日本郵政グループ各社がより良い会社になり、それによって公正かつ自由な競争が促進され、国民・利用者により多様で良質なサービスが提供されるようになる、こうした好循環を生み出すというものでした。審議の過程でこうした共通認識を持てたことが、その後の議論を生産的なものにしたと思っています。その上で、個々の問題について必要な時間をかけて徹底して議論する。ただし、民営化委員会が郵政民営化の議論を停滞させることは望ましくないので、結論が出たら速やかに取りまとめ意見をオープンにする、という姿勢で取り組みました。