通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2016年8月号 評論家 森田実先生に聞く

世界の経済社会情勢と我が国を取り巻く政治情勢(下)
郵便局を日本の主柱、地域の主柱へ


 田中角栄さんが郵政大臣をされたのが昭和三十二年からだったと記憶するが、「郵政を強くしていくことが地方を強くする道だ」と話していたのを思い出す。これは正しい主張である。地方の郵便局を守ることはものすごく重要で、今でも郵便局の皆さんが頑張っているから地方が守られているのだと私は思っている。
 郵政民営化にあたって私は小泉元首相と対立したが、地方で最後に残ったのは郵便局と役場と農協である。その中で一番の重要な柱は郵便局だと思う。市場原理主義の大きな荒波の中で、郵便局の皆さんが地方を守り抜かれていることに本当に敬意を表する。政治の大きな流れとして、「郵便局を強めていこう」「郵便局をもっと大事にしよう」「郵便局を日本の主柱、地方の主柱にしよう」という方向に持っていかなければいけない。最澄の言葉「一隅を照らす、これ則ち国の宝なり」を借りれば、郵便局は一隅を照らし続けてきた国の宝であり、日本の主柱なのである。
 今日本社会において強い者が勝つ、貧富の差が拡大する、東京一極集中が依然として進んでいくという流れがあるが、この流れを止めて、地方から国を立て直していかなければならない。そうした時に主柱になり得るのは郵便局長さんだ。郵便局が柱になって地域再生、地方創生の中で過疎化も少子高齢化も食い止めていく力になってほしい。