通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2014年11月号 ICT時代を迎えた日本の将来像について(上)
           ~郵政、国家のあり方~

元衆議院議員・一般社団法人通信研究会会長 亀井久興先生  
東京大学名誉教授 月尾嘉男先生


月尾先生 デジタル技術が通信の構造を一変させました。距離に依存しない料金制度と一種類の回線でどのような情報の交換も可能になり、なおかつ民営化で競争条件が整い、情報革命の第二弾が始まりました。第一弾は技術革新により百数十年続いた電話中心の情報社会が一変し、第二弾はインターネット革命によって従来の情報社会の構造が一変したのです。

 さらに重要なことは、新しい技術の速度が異常だったことです。デジタル化の普及の速度が異常だったということです。日本で電話が国民の半分にまで普及するのに106年かかりましたが、携帯電話が国民の半数に普及するのには22年、インターネットはわずか9年です。第二の情報革命は短期間で普及していったため、個人も企業も戸惑う状況になったのです。

 そのICTにいかに早く慣れていくかが重要ですが、残念ながら日本は遅れ気味です。

亀井先生 通信回線は国にとって大切なインフラであるわけで、国としていかにセキュリティを確保するかをしっかり見ておかないと、とんでもないことになりはしないかと危機感があったのです。

  当時、私は自民党の電気通信調査会の会長として、電気通信におけるセキュリティを国としていかに確保するかを勉強していましたが、ICT社会の発展に伴って当時心配していたことが現実になってきているのかなという感じがしてなりません。アメリカなどは、自由だ、自由だと放置しているように見えますが、いざ自国にとってマイナスになるようなことがあれば、強権を発動するような仕組みが残っています。