通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2013年11月号 特別対談 参議院議員 西田昌司先生、評論家 中野剛志先生

新自由主義 グローバリズムへの警鐘(下)
TPP、世界の動向、アメリカの変貌、安全保障


西田先生 何度も言うようですが、TPP交渉は何のためにやっているのかよく分からない。TPP推進論者に聞くと、日本のためであり、そのためにはアメリカはなくてはならないと答える。これは現実的にはかなり正しいと思いますよ。だが、TPPは対等の条項ではなく従属条項になっている。彼らは従属条項であることを承知で、恥と思わず、仕方がないと開き直っている。

 この仕事をやるのは政治家で、官僚というのは法律の枠内でしか仕事ができない。その点、政治家はもちろん法律の枠内で仕事をやるが、法律をつくったり改正したりできる。少なくとも思考の上では憲法も含めもっと自由に議論できて行動できる。ある程度自由な政治家の我々が風穴を開けなければならないと思っている。ところが政治家も選挙で落ちては困るから、自由に動ける人は多くない。そこで知識人が出番だが、アメリカに留学した人が多く、知らぬ間にアメリカのエージェント化した人が知識人ばかりになっている。

中野先生 アメリカが安全保障条約上、日本を守ることがあるとしたら、それはアメリカの国益上必要な時だけです。例えば、中国が沖縄を取りに来たら、アメリカは国益上守ってくれると思うが、尖閣はどうか分からない。アメリカが守ろうとするのは、アメリカが軍事戦略上必要と認める場合だけで、TPPに入ろうが入るまいが戦略上必要なら守ってくれます。もしアメリカの軍事戦略上必要性がないのなら、TPPに加入したって守ってもらえない。何でそのくらいのことが分からないのだろうか。つまり、日米安全保障条約というのは軍事条約であって、アメリカが日本を守ってやるのだからTPPだけ入れと脅そうと脅すまいと、そんなことは関係ないのです。

西田先生 現実的にはなかなか難しいことがあるようだが、交渉を注視し、発言し続けることが大事だと思っている。