通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2013年3月号 衆議院議員 小泉龍司先生に聞く

日本社会の動向と郵政が進むべき道を探る


――郵政事業の環境は大変厳しいものがありますが、その大きな問題の一つが人口減少であり過疎化の問題です。

小泉先生 人口の減少は大きな問題だ。各方面にいろいろ影響が出ている。企業の期待収益率が上がらないということも、人口減少が大きな要因になっている。

 終戦の年に約7000万人、それから60年後の郵政選挙の年、2005年に1億3000万人弱へと、日本の人口は、戦後ほぼ倍増した。その2005年をピークに人口は今後急速に減少していく。このままで行けば60年後には人口はまた元の7000万人に戻ってしまうことになる。ものすごいスピードの社会変化だ。今はこの人口減少の入り口に入ったところにいる。1980年代までは人口が目ざましく増え、どの分野もマーケットは大きくなり、若い人も増えて消費も旺盛、何をやってもそこそこうまくいった。ところが人口減少時代に入ると、マーケットは縮小していくからなかなかうまくいかない。都市部の高齢化もあるが、特に地方の人口減少が顕著であり、過疎化が大きな社会問題になっている。

 こうした中にあって、ユニバーサルサービスという社会的使命を持った郵政事業の存在は一層重要になっていく。郵便局は情報を得られる場でもあり、コミュニティの中核的な存在であり、国と国民生活の結節点として存在している。こういうバックグラウンドの中にあって、郵政は何ができるのか、何をすべきかということだ。

 その場合人口増加という「登り坂」の常識とは違った視点での発想が必要であると思う。日本はまだ登り坂の余韻に浸っている部分がある。

 その感覚を払拭するためには、人口の登り坂でやってきたことと逆の発想に立つことが的を得ているのではないかという仮説を私は立てている。たとえば、登り坂が男性社会できたならば下り坂は女性社会でいく。あるいは、フローに対する課税(消費税や所得税のように動いているお金に対する課税)ではなく、ストックへの課税(資産課税)を考えるということも重要になる。

 翻って郵政の問題を考えると、新たな発想に基づいた中長期的なビジネスモデルの構築が求められる。今までの既成概念にとらわれず新しい視点が必要だと思う。