通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2011年9月号 郵政改革法案成立を目指しつつ 今後の対応について
―第177回国会を振り返って―

(社)通信研究会会長  亀井久興先生に聞く!


 郵政の今の厳しい状況は、小泉郵政民営化が進められた当時、激しい議論の中で、私たちが国会等で指摘していた通りの姿だ。基本的な制度設計が最初から間違っているわけで、それを進めていけばこうなるのは当たり前だ。貯金、保険の金融部門が全体を支えているという収支構造が何も変わっていないのに、株式会社にした金融部門の株を市場で全株売却しようというのが民営化法の目的であり、株式売却が進んでいけば郵便局ネットワークが維持できない、郵便事業が維持できなくなるのは当たり前だ。こんなことは今さら議論するまでもない。その誤りを正そうということで郵政改革法案を出している。これを一日も早く通さないとますます日本郵政グループの収支は悪くなるし、現場の意欲も低下してくる。何が誤りで問題なのか、もう一度、しっかりとつかまえ直してもらう。

 郵便局は何のためにあるのか。まさに地域社会を守り、日本の国を守っていくために大きな役割を果たしてきた。百四十年の長きにわたり、ネットワークが国民に支持され、発展してきた歴史がある。なぜ支持されてきたのか、その原点をもう一度きちっと見つめなおしていくことが大事だ。