通信研究会

機関誌 逓信「耀」 インタビュー

2011年1月号 新春特別対談 新しい年を迎え 郵政改革法案の成立で明るい展望を

前総務大臣 衆議院総務委員長 原口一博先生 
国民新党顧問 (社)通信研究会会長 亀井久興先生


原口先生
 
今回(平成二十二年度)の中間決算で、郵便事業会社は相当の赤字が出ています。JPエクスプレスの赤字が大半ですが、もしこれが続けば、次は資本増強をしなければならなくなり最悪です。
 私らは何も官から民へを否定しているわけではない。「公」をしっかり担保しようということを言っているわけで、そこで一番必要なのは、先生のおっしゃる通り、「地域の信頼」です。郵便局のネットワークは信頼に基づいているのです。

亀井先生
 貯金の現在高も段々減ってきており、百五十兆円を切ったら事業経営が成り立たないと言われている。それが利用限度額の引き上げに問題が集約されたような感がある。限度額の問題も大きなテーマではあるが、それ以上に私が大きいと思っているのは、郵便局離れが地方を中心にどんどん進んでいることです。もともと郵便局は局長さんたちが地域のことをよく知り、地域に貢献し、信頼・信用されて今日まで営々と積み上げてきたことを忘れてはなりません。

原口先生
 
単なる民間会社で自分たちが競争だけやっていたら誰も協力してくれません。
 私は郵政民営化に関する特別委員会の時に、佐賀県の唐津にある馬渡(まだら)島まで行った。そこでは「郵政丸」という船を運用するのを地域の人たちが一生懸命支えていた。これこそが郵政の強さだと思う。そこをしっかりと踏まえた改革を目指すべきで、数字に表せない、見えないものでも大事なことはいっぱいあります。

亀井先生
 やはり局長さんにしても職員さん方にしても、自分たちがただ単に収益事業をやっているのではなく、地域のために働くという使命感が大きな支えになってネットワークを構築してきた。ところが今の状況ではその使命感が出てこない。その姿を見ていて、「何だ郵便局はもう駄目だな」と地域の人たちが思い始めたら、根本から崩れてしまう。