通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2025年2月号 宮﨑 雅人 埼玉大学学術院教授

人口減対策、自治体任せでなく政府の対応が鍵
地域住民の住みやすさにつながる郵便局の存在


 (地方創生政策はどうあるべきか)少なくとも各自治体に短期の目標を立てさせて、これを達成するように施策を行うというやり方、国による政策誘導はやめたほうがいいですね。地域それぞれのやり方でよく話し合っていく。それに実態を持たせることが大事でしょう。地域内のコミュニティも序列というか、フラットな人間関係ではないケースも多いですが、それを乗り越えて、どうやって地域を良くしていくか、中身のある話し合いをすることが大事です。「産官学労金言」の代表などによる従来型の会議ではなく、若い人たちや女性を含めて、地域の人たちが徹底的に議論をして活性化策を打ち出していく。外部からの交付金を得るためにどういう事業をやるのかと体裁を整えることより、地域の中でしっかりと話し合いをしていくことが大事だと思います。

 【郵便局への期待】
 日本の郵便局は、ユニバーサルサービスを維持していますが、これは地域に住むうえで大変重要な要素です。仮にユニバーサルサービスが維持できなくなって、人口何人以下の地域の人は町の郵便局まで取りに来てくださいとでもなったら大変なことです。
 オーストラリアに住んでいる私の友人を青森県に連れて行ったのですが、三戸町の山中を車で走っている時にバイクで走っている郵便配達の方を見て「日本ではこんな山の中にまで郵便を配達してくれているのか」と感動していました。郵便局の果たしている役割は、住民の住みやすさにつながっています。JAや民間金融機関が統廃合等で地域からどんどん撤退していますが、郵便局には地域住民の最後の砦としてなんとか頑張ってほしいと思います。