通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2024年10月号 白井 信雄 武蔵野大学工学部サステナビリティ学科教授

持続可能な地域づくりとあるべき姿
環境と経済・社会の統合的発展めざす


 経済が豊かになっても皆が幸せになっていないと言われて久しいわけですが、相変わらず、経済が発展しなくてはいけない、経済が成長すれば財源が潤って広く配分できるといった経済政策が主流になっています。でも、それで皆が幸せになることができたかと言えば実現できていません。目指すべき幸せはお金で得られるものではないと皆が分かっているわけですから、それに向かって別のやり方を考えなくてはいけません。補助金があるからやるというのではなく、住民が地域のことを主体的に考え、計画を作って実践していくことで、そこに地域とかかわることの歓びが生まれるのだと思います。住民主導、地域密着、人起点を基軸として進めていくことによって、皆が幸せになりながら、地域課題を解決していく。まさに人を中心に地方創生を進めていくことが大事だと思います。

 【郵便局への期待】
 郵便局が本来持っているSDGs的な存在意義こそビジネスに活かすべきです。その際、住民主導、地域密着、人起点を基軸とした地域づくりの一翼を担うこと、そして地域の住民や行政はもとより、地域公共交通、商店街、工務店等と連携していくことがポイントになると思います。「C・F・C」、チャイルド、フロントランナー、コーディネーターとつながることも意識してほしいです。また、郵便局ではデジタル化を進めているようですが、DXやAIを使って、業務の効率化だけではなく、業務をいかに創造していけるか、業務を通じていかに人とつながっていけるかが課題になってくると思います。