一般社団法人 通信研究会
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買い物難民、買い物弱者というのは、基本的に食料品へのアクセスの問題を捉えていますが、私たちが考えているのは、アクセスの問題だけではなく、もう一つの要因があるということです。それは、社会的弱者の集住の下に、二つの穴があるという考え方です。一つは「空間的な穴」(空間的な要因)。買い物先がなくて買い物に行くのが困難で、この穴に落ちてしまうと食生活が悪化して健康を害する。もう一つは「社会的な穴」(社会的な要因)で、人と人とのつながりが切れてしまうと、そこから穴に落ちて食生活が悪化して健康を害してしまう。従来の買い物弱者問題は「空間的な穴」、買い物行動の困難化だけを問題にしていたのですが、それだけでは本当にそこに困っている人がいるのかよく分からないわけです。
食料品へのアクセスが困難でも、社会的な関係、人と人とのつながりで助けてもらっている場合は、あまり問題が生じません。逆に、食料品へのアクセスが容易でも、引きこもって孤立していく中で買い物に行かなくなってしまったり、自分で食事を作ることもしなくなったりすることが起きる場合があるわけです。食料品アクセスの低下と社会的なつながりの欠如のいずれか、あるいは両方を見なくてはいけないとの考えから、「買い物弱者」という言葉ではなく、「フードデザート(食の砂漠)」という言葉を使っています。
【郵便局への期待】
地域の相互扶助システムの中で、郵便局が大きく貢献できると思っています。都市部でも小さなことから始めて相互扶助システムの芽をつくっておくことが大事なのですが、郵便局がその核になってほしいと思うのです。郵便局は地域の情報を持っていますし、郵便・物流や金融も担っています。持続可能な地域づくりの核として、郵便局が機能を発揮してくれればよいと期待しています。それと、郵便配達の人は、地域のことを良く知っています。あの辺りに困っているおばあちゃんがいるとか、先日まで元気だったけれども最近見かけないとか、そういう情報はものすごく大事です。それこそ産官学民で情報を共有できれば、フードデザート問題の解決にもつながっていくのではないかと思います。