通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2024年4月号 金森 剛 相模女子大学専門職大学院社会起業研究科教授

“地方創生”デジタル技術でより活性化
郵便局は地域の“拠り所”に


 デジタル田園都市国家構想はかつての郵政省の‷テレトピア”や通産省の“ニューメディアコミュニティ”に近い印象ですが、技術が進歩したので、より現実的になってきていると思います。「まち・ひと・しごと創生」はネーミングが良かったと個人的には思っています。“しごと”という文字が入っているのが良かったと思っています。当時、この施策が公表された時、私は相模原市の総合計画審議会の委員で、併せて相模原市の総合戦略の担当委員であり、計画の評価などを行っていました。この時は相模原市としてはロボット特区を使いながら、製造業の振興を図ろうとしていました。ただ、私としては、郊外住宅地である相模原市の特性からすると、製造業だけでなく、第三次産業をもっと振興すべきだと思っていました。その後、中央区田名に最先端の物流センターが出来るなど、“しごと”創生も新たな段階に入ったようです。最近は一般にデジタルと結びついて、移住や「二拠点居住」が実現するベースが出来てきたと思います。二拠点・多拠点で、もしくはリモートで仕事が出来る環境が出来てきたので、システムエンジニア、デザイナー、クリエーターなどの職種を先駆けとして“しごと”創生はさらに新しい段階に入っていくと思います。

 【郵便局への期待】
 旧特定郵便局の局長さんは地元の名士でいらっしゃいますし、地域のことをよくご存知だと思います。今、自治会が機能しなくなってきており、消防団の維持も大変です。しかし郵便局があるからこそ、そうしたネットワークが維持されていることはあるかもしれません。
 JR北海道の岩見沢駅舎の再生を手掛けた人から話を聞いたことがあるのですが、駅前には何もなくて、お店も撤退してしまって、すごく寂しい町になってしまったため、ガラス張りの、徹底して明るい局舎に作り替えたそうです。そうしたら皆が集まってくるようになったそうです。都市近郊の暗い住宅地でも、コンビニの明かりがポツンとついているとホッとします。もしかしたら地域によっては、郵便局が、自宅や職場とは異なるサードプレイスというか、心の拠り所になるのではないかと期待しています。