通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2024年3月号 宮下量久 拓殖大学政経学部教授

地方創生政策は予算の有効性など検証が必要
郵便局は地域特性を生かした多様な拠点整備を


 地方創生第1期(2015年度から2019年度)と地方創生政策前(2010年~201年)の年間の「都市」と「町村」の人口増減率の変化を見ますと、都市の傾向としては、大都市圏や政令指定都市に近接している都市の人口増加が顕著となっています。一方、町村は、都市の傾向とは異なり、離島などの条件不利地域での人口増加が見られます。地方創生第1期が始まってから、町村に人の動きがあったことはデータからも明らかで、ある程度効果があったのではないかと思っています。人々の関心が地方に向かったという点では、非常に良かったのではないかと思います。
 ただ、地方創生関連の予算は2014年度(補正予算)から2024年度(当初予算)の合計で21兆9503億円と、約22兆円に上っています。政府が地方創生政策を通じて人口減少と安定的経済成長という二兎を追うために、巨額の予算を費やした意義や効果について、十分な検証が必要です。

 【郵便局への期待】
 郵便局は地域社会の「最後の砦」だと思います。全国津々浦々、2万4000の拠点があることは、とてもありがたいことです。
 要望、期待としては、地域ごとに様々なニーズがある中で、地域特性に応じた多様な拠点整備の戦略が求められているのでないかと思います。全国一律のユニバーサルサービスはもちろん魅力ですが、地元の連携を通じた、ローカル情報の収集・発信というのも良いのではないでしょうか。