通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2024年1月号 片山善博 大正大学地域構想研究所 所長

地方創生は自治体や地域が自ら考え実行
郵便局には役所のサテライト機能を期待


 地方創生について、安倍政権が発足した時の志というか、言いぶりには頷けるものがありました。人口が減って、地域が衰退する可能性があるということに対して、自分たちで考えて取り組むことが重要なのですという触れ込みでした。何でも国の言う通り、右に倣えではなく、自分たちの地域のことは自分たちで考える。そこを起点にすることは、とても重要なことだと思います。さてそうなるかな?と注目していたのですが、案の定、地域に考えさせない。
 自治体が自ら考える、自分たちの地域のことは自分たちで考える。地方創生の意義はそこにあるはずです。国の政策と財政支援をあんぐりと口を開けて待っていて、何か出てきたらパクっと食いつく。その失敗の連続に終止符を打たなければいけません。自治体が主体的に考える力をどうやって取り戻すか、ここが一番のポイントだと思います。

 【郵便局への期待】
 郵便局は非常に重要な役割を果たす潜在的可能性があると思います。市町村合併が進んだ結果、役所が遠くなりました。それをデジタル化が補うということなのでしょうが、なかなかそのようになっていません。例えば、郵便局と市役所がネットワークを構築し、最寄りの郵便局に行くと、役所と同じ手続きが受けられる。そんなサテライト機能を担ってもらえたら、住民は随分便利になると思います。郵便局は住民に身近なところにあるわけで、そこに行けば、自治体の様々な事務手続きもできるし、公共料金の支払いもできるようになれば、住民にとってはありがたいと思うのです。その際に大事なことは、手数料をきちんと取るということです。きちんと手数料を取り、収益化して、地域の役所機能を担うサテライトになれれば、それこそ役所も郵便局も住民も、ウィン・ウィン・ウィンになります。