通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2023年10月号 宇野二朗 北海道大学大学院公共政策学連携研究部教授

地方公営企業は“広域化・広域連携”を推進
郵便局は地域を支える仕組みづくりに不可欠


 公営企業のイメージは様々だと思います。職員数が数名の小さな町の水道から、大都市の水道もあります。町役場の中には水道で働く職員の人数が0.5人というところもあります。こうした場合、水道事業、下水道事業、道路などいくつもの業務を兼務しているからです。小さな町の公営企業では、いくつもの事業を複合的に兼ねています。それを積極的に捉えて、一つの企業のようなものに変えていくことも、選択肢としてはあると思います。事業の専門性や継続性を考えた場合には、水道事業を0.5人でやっていますと、何かあった時に持続ができなくなりますので、やはり、人を育てることも含めて大きな組織にしていく必要があると思います。そのために進めているのが、“広域化・広域連携”です。

 【郵便局への期待】
 地方部では、道路などについて細かに点検して回るような人的な余裕はないと思います。そうなるとユーザーである住民の協力が必要となり、住民と一緒になって作っていく組織が必要になります。これまでは水道は水道、下水道は下水道、道路は道路、福祉は福祉と切り分けて個別に対応してきました。これからは、そうして切り分けていくのではなく、フレキシブルに、組み合わせて連携できる組織を作っていくことが必要です。その際には、各地区で住民との連携する場所が必要となります。公共施設の統廃合されてしまっている場合など、地区にそうした場所がなくなっている地区もあるでしょう。そのようなとき、郵便局やそのネットワークを使わせてもらうことも、一つの有力な選択肢でしょう。