通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2023年6月号 北條 規 大正大学地域構想研究所教授

デジタル化に対応し、地域戦略人材育成が急務
全国の郵便局から地域のリアルな情報発信を


 第二期地方創生総合戦略の改訂版には地方創生のテレワーク推進が盛り込まれ、「新しい生活様式」に必要なテレワークを地域に普及させ、地域分散型の活力ある地域社会の実現を図ることや整備事業の推進などを計画しています。
 しかし、これまでも全国で個が集まるサテライトオフィスやシェアオフィス、コワーキングスペースなどがオープンしてきましたが、成功事例は決して多くはありません。施設を用意すれば有機的なつながりが創出され、地域に人の流れができると想定していますが、人と人をつなぐコミュニケーターや内外の人材の知見と経験、ノウハウをコーディネートする人材、リーダー人材がいなければ、成功にはつながりません。デジタル化、DXが急速に進む中で、地域戦略人材の育成が急務です。

 【郵便局への期待】
 デジタル社会の形成という国策の中で、郵便局が新しい施策をどんどん打ち出して、新規ビジネスを興してほしいですね。他の産業との連携、スタートアップの金融支援もできるでしょう。逆に育ての親という考え方で、スタートアップした企業に伴走するという役目も郵便局であれば担えるのではないでしょうか。ソリューションビジネスでも地域課題を解決できるような企業が増えていますので、そこをどううまくバックアップしていくか。日本郵政では現在、「ローカル共創イニシアティブ」という形で、地域のベンチャー企業などと新たなプロジェクトに取り組まれていますね。そのように、地域と地域がつながるための情報の発信、地域の様々なビジネスの起点になってほしいと思います。