通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2022年11月号 井上武史 東洋大学経済学部総合政策学科教授

地域の新たなネットワークづくりに“寛容さ”必要
多機能な郵便局は高い信頼度、親近感が強みに


 これまでの地域は人口増加、インフラの拡充が基本路線であり、それをいかに進めるかが地域再生であり地域活性化であったわけですが、それを今度は逆方向にうまくもっていけるかどうかが非常に重要なのではないかと思っています。もう一つは、どうしても経済とか産業が重要視されてしまって、例えば格差の問題、所得格差とかがクローズアップされてしまうわけですが、他の地域と比べることや経済が人々の幸福に直結するということが前提にあると思うわけです。今はそういう時代ではなくて、一人ひとりが自分たちの望む幸せの姿があると思うのです。それを地域ごとに設定できるかどうか、そして、経済だけではなくて、それ以外のところにいかに求めていけるかが重要だと思っています。そのためには文化であるとか、それ以外の様々な地域資源をいかに地域の人々に理解してもらえるかが地域活性化のポイントになってくる感じがします。

 【郵便局への期待】
 地方の公共施設、特に自治体の公共施設は今、公共施設総合管理計画のなかで統廃合を進めていくことになっています。これから公共施設が減らされていくなかで、そこに住んでいる方が暮らしやすい行政サービスを享受し続けていくためには、残った施設をいかに有効に活用していくかということになっていきます。その一つが施設の多目的化です。
 郵便局は多目的・多機能な施設として持続し、住民からの信頼度、親近感が高いという特徴がありますので、そこを強みとして、これからも多くの方々に活用していただけるような形を模索していくことが、これからの郵便局には必要になるのではないでしょうか。