通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2022年10月号 倉阪秀史 千葉大学大学院社会科学研究院教授

「儲かるカーボンニュートラル」で地方創生
郵便局をシェアリングエコノミーの拠点に


 脱炭素社会の実現を目指す2050年カーボンニュートラルが日本全体としてのプラスを作る政策になり得ると思っています。今の日本の輸入額の5分の1は化石燃料です。年間で20兆円弱の日本の富が海外に流れてしまっています。カーボンニュートラル化は化石燃料の輸入額を減らす方向に働きます。特に、日本国内で分散的に再生可能エネルギーを生産することができれば、外に流れていた富が地方にとどまることができます。そういうお金が地域に残り、地域の雇用につながる良い循環を生み出すことができれば、自治体間で人を取り合うようなことではなく、日本全体としてプラスになるはずです。
 カーボンニュートラルは地方創生の切り札になると思っています。

 【郵便局への期待】
 全国に広がる郵便局ネットワークは一つの社会的なインフラであり、貴重な財産です。そこはうまく活用し、様々な形で公的な貢献をしていただきたいと思います。近年、新しいビジネスモデルとしてシェアリングエコノミーが注目を集めています。例えば、郵便局に物品を持って行き、郵便局を介して他の人の手に渡るようにする。シェアリングエコノミーの拠点として、郵便局の全国ネットワークが最大限活かされるはずです。そういう取り組みによって、無駄な資源を使わなくて済むようになります。社会的メリットも出てくるわけですから、シェアリングエコノミーの流れの中で、郵便局がどういう機能を果たせるのかを考えるとよいのではないかと思います。