通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2022年8月号 庄司昌彦 武蔵大学社会学部メディア社会学科教授に聞く

「2040年問題」へデジタル改革待ったなし
郵便局は地域のデジタル化の一翼担う存在に


 少子高齢化が進行し、いわゆる団塊ジュニアが65歳以上になることで高齢者の人口がピークとなる「2040年問題」を見据えた対応が求められています。高齢者が多いということは、医療や福祉のニーズが多くなり、支える人が足りなくなる状態に陥っていくわけです。総務省「自治体戦略2040構想研究会」は、従来の半分の職員でも自治体として本来担うべき機能を発揮できるような仕組みを構築しなくてはならないと指摘しています。2040年まであとわずか18年です。今から18年前と言うと2004年ですから、アテネ・オリンピックで金メダルを獲った北島康介選手が「超気持ちいい!」という名言を残し流行語大賞を受賞した年です。はっきり記憶にありますよね。それくらいの、わりと近未来に現在の半分の人数で自治体の業務を運営しなくてはならないという厳しい状況を迎えます。ですから、早急に対策を講じなければならないのです。現役である私たち世代がやらないと、将来、私たちの次の世代に迷惑をかけることになります。

 【郵便局への期待】
 郵便局はビジネスとしての採算性が求められる面もありますが、公的な存在でもあるということです。地域社会の生活インフラ、公的存在であることを大事にすべきです。行政がこれから細っていくなかで、みんなで地域のデータ環境、情報環境を作っていかなくてはなりません。それによって地域を動かしていかなくてはいけないという時に、役所とは違うけれど公的存在として全国ネットワークを有している、地域をくまなく回って郵便を配達していることを、むしろ強みとして活用していくべきです。