通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2022年7月号 今瀬政司 愛知東邦大学経営学部准教授

郵便局は社会貢献とビジネスの両立が基本
ハイブリッド型(複合型)経営で人をつなぐ


 自分たちのことを自分たちで考えて決め、自分たちで実行して責任をとる。これが本来の「自治」です。本来の住民自治、地域づくりに戻ること。その原点・視点を忘れてはいけません。これからの地域のコミュニティのあり方としては、住民による「意思決定組織(意思決定の担い手)」を行政から切り離したうえで、その意志決定組織と「実行組織(汗を流して実施・作業する担い手)」を一体化し、住民による自律的な運営がなされることが必要です。住民が自分たちのことは自分たちで決めて、そのうえで、自分たちで実行できるようにしなければならない。行政はそれを支援したり、協働で取り組むのです。そのことは、地域主権や市民主権の根幹ともなります。

 【郵便局への期待】
 郵政事業は民営化されましたが、日本郵便は特殊会社、いわゆる営利型公益団体というべきものです。つまり社会貢献とビジネスの両立を基本軸とするのが出発点だと思います。
 郵便局の「郵」には、「つなぐ」「拠点」の意味があります。ネット時代に遠くの人どうしをつなぐことはもちろん大切ですが、遠くの人も近くの人もつなぐことができるのが郵便局だと思うのです。脈々と歴史に根付くハイブリット型(複合型)の郵便局経営があっても良いのではないかと思います。この原点ともう一度向き合ってみることが大事でしょう。