通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2022年5月号 松本敦則 法政大学地域研究センター長

“地方創生”は地域に誇りを持つことから
郵便局が参加する「地域商社」に注目


 (地方創生政策に関して)例えば、内閣府等の総合戦略を見ても良いことはたくさん書いてあるのですが、情報があっても、なかなか地域に伝わらない。やはり、コーディネーターや専門家のような、間に入る人たちが地域の人たちに情報を伝えるやり取りをする。そういう役割を持つ人をもっと輩出する必要があります。そうしないと、「まち・ひと・しごと創生」のメニューはたくさんあっても、なかなか伝わらないことになってしまいます。
 今、注目しているのは「地域商社」という考え方です。いろいろな形態があるのですが、例えば、行政がある程度出資して、あとは農協、地域金融機関、道の駅、地域の民間企業などが一つの地域商社を作って、魅力ある産品の販路拡大のために地域外の市場を開拓します。これまで、行政だけでは限界があり実現できなかったものを、地域商社という第三セクターのようなものを作ることで、新たな活動ができるということです。

 【郵便局への期待】
 「地域商社」に郵便局が関われないかと思うのです。郵便局には地域の特産物などの荷物を運ぶ機能や金融決済機能があり、また郵便物を日々配達していて現地のことを一番良く知っている職員の方々もいます。どこまで地域の郵便局が自分たちで権限を持って新しいことができるのか、今の制度や規制の中でどこまでやれるのか、やれないのかなどを知りたいところです。現状できないのであれば、少しずつ調査、研究を行い、できる範囲から改善していければ良いのではないかと思います。