通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2020年8月号 大下 茂 帝京大学経済学部観光経営学科教授

人口停滞期に新たな文化が創出
郵便局はコミュニティの核に


 人口増加が期待できない時代に何が地域における精神面の核になるかと考えた時に、やはり、金融というのは結構大きいのです。地域で盛り立てていこうと思った時に、金融は中心になるべきだと思っていています。郵便局は地域にとってのコミュニティの核になっていくのではないでしょうか。それこそ、市民、町民の方々が、昼間の時間だけでも寄り集まれるようなサロン的な空間、人口が伸びなくなる時は、必ずと言っていいほどサロンがはやるのです。コンビニのない地域でも郵便局はあります。郵便局の前で生活用品を扱うなど工夫の余地があります。

 人口が伸びなかった時代のひとつに室町時代があります。その後、戦国時代以降、人口は伸びて江戸時代の前期に至るわけですが、室町後期につくられた「銀閣」とかは、ある意味サロン的な役割も担っていました。お茶とかも文化としてはやっていくのです。最初に茶が日本に入ってきた時は薬・健康だったものが文化的色彩へと変わっていく。つまりカフェですよね。今日でも一時、カフェが増えましたよね、これも何か拠り所がほしい表れと思います。昼間のサロン的なものを郵便局に併設、もしくは局前の空間を使ってできるようになると、面白いと思うのです。