通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2020年6月号 竹田純一 東京農業大学農山村支援センター事務局長

荒川水系の課題と「秩父グリーンインフラ構想」
  ~つなげよう、支えよう森里川海~
郵便局は地域のネットワークと人口動態づくりに貢献も


 荒川流域の洪水対策、つまりは減災に向けた取り組みを推進する拠点として、「水の駅」を提案しています。そこでは、中下流域圏への情報提供、減災教育事業の推進、上中下流交流を通じた地域経済の活性化を目指す取り組みなどを検討しています。実際、豪雨災害への対策としては、流下水量の時間的な調整が重要になってきます。上流圏での滞留時間を拡大できれば、減災に寄与することができます。このためにも、森林や農地の持つ貯水機能とダムの貯水能力の向上が鍵となります。

 荒川にとって秩父は、上流圏のターミナルなのです。水が源流から秩父だけでなく多くに広がっていくのですが、水の駅には源流域の雨量の情報、河川の情報、そして、下流域までの情報、その雨が降ったことによって、その水がどのような被害をもたらすかという情報が集まっているのです。もう一つは、水難教育の場、水の環境教育の場として、命を守る活動と日常的に交流を行うことによって、いざとなったときにお互いに助け合える関係を構築する。例えば、上流域の郵便局と下流域の郵便局が情報交換することによって、お互いに何かあったらすぐに連絡できるようにすることです。つまり、日常的な関係性を水というテーマで、郵便というテーマで、または人と人との交流というテーマで、日常的に絆を深めていくために、水の駅を作ったらどうかと提唱しているのです。