通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2019年12月号 早田 宰 早稲田大学社会科学総合学術院教授

地域支援の“バックボーン組織”が重要
郵便局はグローバル物流の拠点に


 (地方への人の流れをつくる取り組みと、ふるさとの地域づくりの役割と担い手について)
 コミュニティには「伝統的コミュニティ」と「現代的コミュニティ」の姿があって、伝統的コミュニティは同じ地域に住んでいて、顔もよく知っているので、利益共同体となる昔ながらの村落共同体の姿ですが、一方の現代的コミュニティはネット社会で、ユビキタス化(いつでも、コンピュータの支援が得られる)してきます。そうすると、情報の流れとか、あるいは共感するものが、リアルな関係とは違うところで繋がってくる。現代の人はLINE(ライン)でつながっている人が多い。LINE(ライン)のコミュニティグループに幾つくらい入っているのかというと、10や20ぐらいはかなりの人が入っています。それを使い分けています。そのネットワークが重なりながら繋がったり切れたりしながら若い人は生きていると思うのです。
 コミュニケーションの中から共通意識がネットワークしてきて、さらにはナレッジベース(知識基盤)の価値を生むようなものに転換する瞬間があります。それをサポートする専門家がいると“商品開発につながる”とか“PRのチャンス”になるとか、転がる瞬間があります。伝統的な社会の希薄化が進んできました。そうするとネット社会でチャンスをつなげていくようになっています。しかしやはり伝統的なコミュニティも強い。そこを結んでゆき、情報の流れを草の根かするのは重要な社会的仕事であり、そこの参加の権限とでもいいますか、バーチャル・サイバー・スペースをどうやって維持していくかが大きな話になってくると思います。