通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2019年11月号 杉崎和久 法政大学法学部教授

地方創生は若者に人生の選択肢を提供
現状の郵便局でさらに利便性を高めて欲しい


 地方が面白いと思う若い人の表現の仕方がメディアに載るようになってきました。そんなに大きな動きにはなっていませんが、かなりユニークな活動をしている人たちの動きが社会に発信され、そういう選択肢もあるのだとの認識が広がっています。人がどこで生活するかという選択と、その人がどういう生き方をするかというのが今までは繋がっていなかったと思うのですが、若い人の行動によってそれが繋がってきている。地方創生の施策なのか、時代的な背景なのかはわかりませんが、それを取り上げる時には地方創生施策の事例などで取り上げることも多いので、若い人たちにとっては選択肢が増えています。つまり都会に出て、とりあえず安定した会社や組織に入って、勤め上げるという(人生の)モデルが今もありますが、そうではない生き方というのもあります。多分、地方に行くということだけではなくて、場合によっては自分の働き方、生き方も選択していくことを地方創生の議論全体のなかで示したのではないでしょうか。第二期の地方創生施策では「関係人口」が話題になっていますが、そうした関係人口よりも、もう少し濃い選択肢があってもいいのではないでしょうか。

(郵便局が今後果たすべき役割について)
 コンビニも郵便局も地域社会のライフラインの一つですが、コンビニがいろいろな機能を持つようになってきたのを参考にして、郵便局でも出来る機能はたくさんあると思うのです。特に店舗(ネットワーク)が全国津々浦々にあります。また、窓口におけるフェイス・トゥ・フェイスでアナログ的な要素が、ある一定の世代から上の年齢に人たちからすると、郵便局は「安全で安心、さらに、利便性が良い」というイメージがあるわけです。すごく大事な役割がまだあると思うのです。新しいことをやるのではなくて、いま現業でやられていること、地域における信頼感を活かせていけること、人が常駐していることから地域の“居場所”として活用することなど相当にあるように思います。