通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2019年7月号  関口博正 神奈川大学経営学部教授

“成功例”に学ぶ社会インフラ整備
地域特性を活かした郵便局に期待


(政府が打ち出した「地方創生」の狙いについては)都市部だけに人口が集中して、地方では産業が維持出来ないのかという懸念を払しょくするための施策だと思います。特に地方の場合には、「限界集落」などにも象徴的に表れているように、子育て世代が居住しなくなってしまうという問題があるのです。それはどこに問題があるかと言えば、結局のところ、地方に仕事が十分に行きわたっていないということなのです。東京を含めた大都市に人が移住しなくても、若い世代が職を求められる環境を地方で作っていくというのが、そうした施策の狙いだと理解しています。ですから、そのためのインフラを一定水準以上に維持しておかないといけない。そのためには通信とか、郵便のインフラは今後とも維持する必要があると思われます。

(地域社会のなかで郵便局が果たす役割について)
 今、金融機関が郵便局しかないという自治体が全国に24あります。そうした地域に生活のインフラを提供する機能は、これからも求められてくるだろうと思います。また、コンビニが進出していないエリアも全国で150市区町村あります。そのような自治体にも郵便局はしっかりあるというところも含め、純粋に採算ベースで言えば撤退したくなるようなエリアでも、いまのところ、郵便局の撤退はほとんどありません。そうした社会インフラを提供するのは、今後とも、ますます重要性が高まっていくと思います。ですから、それを担う次世代の担い手を引き付けるだけの魅力を持たせないといけない。全国一律のサービスを維持しつつも、地域の特性を活かした郵便局になっていく努力がこれから求められるかもしれませんね。