通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2019年1月号  米山高生・東京経済大学経営学部教授

委員会報告は規制緩和の「一里塚」
“撤退しない”郵便局に大きな役割を期待


 (ふるさとの地域づくりの役割と担い手について)郵便局の果たす役割は非常に大きいと思います。それは何故かというと“撤退しない”。これはユニバーサルサービスの義務ということもありますが、地域で最後まで撤退しないのは、やはり郵便局であります。このことがとても大きいことで、例えは悪いのですが、企業のバランスシートで言えば資本みたいなもので、最後まで撤退しない。地域でもガソリンスタンドが逃げて、協同組合組織の農協さんでさえ居なくなって、様々な機能が地域から消滅していくわけですね。そうしたサービスに代わって、郵便局がそれらを引き受けることになるでしょう。日本郵便のコストの問題のほか、諸規制の問題もあるでしょうから、簡単には行かないかもしれませんが、撤退しない存在としての郵便局の役割というのは、地域の再生にとても心強い拠り所であると考えています。
 地域創生の方策に関してはいろいろな案があるのですが、ともすれば、都市の視線で考えているものが多く、「わがこと」として地域の活性に考えるものが、案外少ないのではないでしょうか。その地域のことを「ひとごと」ではなく、「わがこと」として考えるような案が出てこないと、地域の方々も信用してその施策に乗ってこられないのではないでしょうか。地域の多様性もありますから簡単なことではないと思います。今回、(主査をつとめる)総務省情報通信審議会郵便局活性化委員会でも様々な地域の郵便局に関連する方々の話を聞きましたけれど、やはり東北と中国ではだいぶ違いがありますし、郵便局に期待しているものも機能も違います。地域再生を一括りで論じること自体難しいなという感覚をもっています。