通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2018年11月号  金崎健太郎・関西学院大学法学部・大学院法学研究科教授

人口減少時代の社会の枠組み作りが大切
郵便局は新時代の“つなぎ役”に期待


 人口減少そのものは、そう悲観的にとらえるべきではないと思っています。もちろん、人口が減ることによって、今まで人が住んでいたところに人が住まなくなる、今までやってきたことがそのままの形では維持できなくなる、ということがあるかもしれません。ただ、その全てがマイナスではなくて、人口が少なければ、少ないなりの仕組みを作っていけば、いいことだってたくさんあると思います。住む場所も広くなるでしょうし、渋滞などの混雑も減るかもしれません。ただ、どうしても皆さん、不安に思われる方が多いのは、国民全体が、人口が減った状態の社会の仕組みというのを想像と共有ができていないからだと思います。人口が減っていった時の社会の仕組みはこんな形で、国民の暮らしはこんなふうに支えられるんだ、ということを示していく時期に来ていると思います。
 郵便局は身近な存在であることがひとつのベースになっていると思います。この信頼のベースを守りながら、これからの時代に合ったサービス提供をしていただきたいと思います。これからIT化が進んで、実際の郵便物であるとか、お金の動きとかは、データというバーチャルなものに変わっていくでしょう。ただ、すべての人が、それに一気に移行できるわけではないので、そのITで出来る部分と、実際の人をつなぐ部分に、郵便局サービスが不可欠なものとなる可能性があるのではないでしょうか。