通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2018年7月号  樋口清秀・早稲田大学国際教養学部教授

郵便サービスはネットワーク産業
「クールEMS」等の活用で新たなビジネスを開拓


 地域創生の課題は、地域の情報をうまく都会に発信することなのですが、残念なことに地域の情報発信力がない、その役割を担う人がいないのです。人口が減少しているから出来ないのではなく、その地域独自の魅力について情報発信をしてビジネスをやることの意義が分かっていないのです。都会でビジネスをやっている人たちは理解しているのですが、これをどうやって地域の活性化につなげていくか、地域の人たちと話をしても取り付く島がなく終わってしまう。また地方の金融機関もうまくビジネスに関われていないように思います。ビジネスをやる上で、どういうネットワークを持つかということが問題で、私は以前から郵便局ネットワークをもっと活用してもらいたいと言い続けてきたのです。
 そもそも郵便サービスとは何かを理解してもらいたいのです。ネットワーク産業なのです。ネットワークがあって初めてビジネスが成り立つのです。昨年(2017年)4月から本格的にスタートした新ビジネスの「クールEMS」に私は非常に注目しています。肉とか魚の切り身の鮮度を保持したまま海外への送達を可能にしたもので、送達の証明もできる。これは地方にとっては大変なビジネスチャンスになると思います。たとえば、シンガポールにしてもパリにしても小さいレストランは(1回に)肉を1トンは買えないわけですから、何キロを何月何日に鮮度を保って、魚なら切り身を何枚送ってくれという注文が可能になるのです。このサービスが残念ながらあまり知られていない、広がっていないのです。もっとPRすべきです。