通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2018年6月号  山下東子・大東文化大学経済学部教授

誰のための「地方創生」なのか
郵便局が地域情報を活かせる時代に


 誰のための「地域再生」なのかを考えなくてはいけません。放っておくと地方自治体の職員のための地方再生、彼らの雇用を確保し続けるための地方再生になり兼ねません。地域再生の名の下に地域の住民が踊らされるという結果なっては本末転倒です。この地域のためにはこれが必要というように、まずは目的と手段を整理することが大事だろうと思います。
 人口減少、少子高齢化などで大変だと言うけれど、地元の人はこのままでいいと考えてきる場合もあるわけです。ただ、日本全体から考えると、たとえば、離島が過疎化するのは国防上の観点から非常に危ないのです。
 今は郵便物が減少しています。物流はむしろ増えていますが、個人情報の保護、プライバシーを守るといったことが必要以上に厳しくなってきていると思うのです。国民の権利意識もプライバシー保護、個人情報保護の方に傾き過ぎていて、プライバシーを公開することで得られる便利さが十分には得られていないように思えるのです。郵便局の方々は情報を守る教育をしっかり受けていらっしゃる。年賀状などもプライバシーの塊のようなものでしょう。ただ、その郵便局が持っている情報を十分には使えないでしょう。それでも、そのうち、個人情報を隠すことによる不利益に気が付くと、少しは規制が緩まると思うのです。その時、郵便局が果たす役割が増えると思います。個人情報を把握しているわけですから、地域住民の安心・安全、情報セキュリティのためにも非常に大事なことなのです。