通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2018年2月号  飯盛義徳・慶應義塾大学総合政策学部教授

~地域の資源を発信する
「よろずや」としての郵便局への期待~


 地域価値を高めるための注目すべきキーワードが地域資源です。地域には、至るところに、美味しい農水産物、豊かな自然、独自の歴史や文化などの豊潤な資源があり、これらをうまく活用することで地方創生の道は開けます。
 「小さな拠点」も地方創生のキーワードとして耳目を集めています。条件不利地域においては、人口減少や高齢化の進展によって、生活を維持するために必要な機能、サービスが行き届かないところもあります。そこで「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2016改訂版)」では、暮らしをまもるための小さな拠点の形成が提唱されています。小さな拠点とは、安心して暮らせる地域を支える、地域の人々の活動・交流や生活サービス機能の集約をいいます。2020年までに全国で1000カ所の形成を目指しています。小さな拠点の形成に向けた最初のステップとして、必要最低限の商業施設を確保し、地域の人々が相集い、交流が生まれる場である「よろずや」の形成が大切であることが打ち出されました。よろずやは、日常の買い物ニーズを支える、地域の人々が主体となったコミュニティビジネスとして運営されています。
  地域において、発信力、信用があり、誰でも気軽に立ち寄ることができ、安心できる拠点である郵便局は、地域の資源を発信する、すなわち地域の資源化プロセスを確立する「よろずや」として機能し、地方創生の実現に大きな役割を果たすと私は信じています。