通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2017年11月号 田口太郎・徳島大学総合科学部准教授に聞く

住民自治の再生支援が“地方創生”の役割
郵便局は“顔の見える”関係の維持が重要


 住民と自治をつなぐ多様な担い手をどう確保するか。住民自治というのは、住んでいる人がやるというのが今までの根幹をなしていた考え方だと思うのですが、住民だけでは成立せず、周辺の人や転出した家族などが関わる自治が生まれてきています。自治の担い手の概念をもう少し拡大して、自治の空白をどう埋めるかを戦略的に行うのが地方創生のあるべき姿だと思っています。
 郵便局というのは社会インフラ、生活インフラだとも思っています。そうしたインフラの役割をキチンと果たし続けられるかどうか、今、瀬戸際なのではないでしょうか。コンビニエンスストアや宅配業者との競争も激化していると思いますが、そうした状況のなかで、果たして郵便局が本当に地域を支え続けることが出来るのかどうかということです。少なくとも、今は(拠点数が)一定数あるのは事実ですし、いわゆる「小さな拠点」のなかでの中心的な機能をいかに発揮できるかも期待されます。たとえば、欧州では郵便局が売店(キオスク)機能を持っていたりしますが、日本の郵便局も郵便事業、金融事業だけでなく、地域の拠点として多様な機能を担っていけるかどうかが大事だと思います。今のところは社会インフラとして存在していますから、地域社会での“顔の見える関係”を維持し続けることが大切だろうと思っています。