通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2017年8月号 名和田是彦・法政大学法学部教授に聞く

「町内会」と「自治会」は地域の活力
郵便局を“都市内分権”の新たな担い手に


 今、私の研究の中心なのですが、「地域分権」、より多く使われている言い方で言えば「都市内分権」という試みが全国的に行われていて、都市自治体でも6割が行っています。地域を幾つかに区分して、そこに役所の出先機関やコミュニティセンターなどの拠点施設を置き、住民の総合的な協議会組織を作るといった取り組みのことを「都市内分権」というのです。日本の場合は自治会、町内会の組織が弱まってきたことで、自治会を中心としながらも、さまざまな各種団体をその輪の中に入れて運用されています。そのなかにいろいろな専門機関が入ることもあります。たとえば郵便局、学校や社会福祉法人の施設などもぜひ入ってほしい。郵便局の場合はいろいろなネットワークをお持ちで、かつ、地域のことをよく知っておられる。したがって地域の協議会組織の貢献も期待されています。郵便局は高齢化社会の下での貴重なインフラでもあると思うのです。多くの自治体では高齢者が移動するときにバスの無料パスを配布したり、割引制度を導入したりしています。そして、高齢者が外出したついでに気軽に郵便局に立ち寄ることで、さまざまな用事が済むという生活の拠点、庶民の貴重なインフラとして郵便局は重要な機能を果たしているのは事実だと思います。