通信研究会

機関誌 逓信「耀」 特集 地方創生のいま、地域を元気に!

2017年8月号 鬼頭宏・静岡県立大学学長に聞く(下)

郵便局は、情報・金融・物流・地域経済を
支える拠点として


 少子化が始まったのは、第一次石油危機の直後の1970年代半ばです。その頃、産業文明の課題として議論されたのが地球環境と資源枯渇です。その背景には人口爆発と経済成長がありました。途上国ではまだこれからという時代でしたが、産業文明は成熟に向かっている、新しい文明に転換しなければ、地球も人類の文明も未来はないという意識が高まった時代です。バブル期にそのような意識は立ち消えてしまったように見えますが、人口減少が始まると、いよいよその感が強くなってきました。意識だけではありません。技術発展もあって、再生可能エネルギーを土台にした社会への転換は、現実的な目標になっています。こうした変化の中で、地域のあり方も変わらなくてはなりません。エネルギー、食料、高齢者のケアをできるだけ地域内で地産地消できるようにすることが、具体的な形になるでしょう。人口が広く国土に分散した、自然と身近に接することが出来る田園都市を目指すべきでないでしょうか。こうした新しい地域形成を支える担い手として、全国2万4千局もある郵便局の役割は大きいと思います。伝統的な通信、金融業務に加えて、役所の窓口機能や、遠隔診断ができる診療所機能を持つ機関として、さまざまな行政サービスの拠点として活用してはどうでしょうか。