通信研究会

機関誌 逓信「耀」 シリーズ 地方自治と郵政事業

第48回 2017年2月号  古川雅典・岐阜県多治見市長

“顔と顔が見える”郵政事業に期待大
地域の安心・安全でさらなる連携も

 徹底した“アナログ化”というか、“顔と顔が見える関係”というのは郵便局の強みだと思っています。これは将来にわたって変わってはいけないものだとも思っています。それは地域に住んでいる人たちの安全を郵便配達の人が常に見守っているからです。あそこのおじいちゃん、おばあちゃんの家は新聞が溜まったままになっているけれどどうなっているのだろうかとか、例えば、小学校から帰るときや交通安全の時に郵便配達の人が少し声をかけるとか、世の中の流れはデジタル化していくのだけれど、やっぱり、郵政の根本は「人対人」です。これをいままでも大切にしてもらったけれども、これからも絶対忘れてもらったら困るというのが私の考えです。

 インターネットなどで商品を売買するときによくトラブルを聞きますが、郵便局の場合は必ず人と人、社員がお客様に説明してサインをもらいます。ですからトラブルがありません。にもかかわらず、最終的にはがきも無くして、手紙も無くして電子ポストのような形態にする話があるのか分かりませんが、実はまったく方向性が違うと思っています。お正月に年賀状、夏に暑中見舞いが来る、または年末に喪中はがきが届くとご不幸があったのだと分かります。このような郵便サービスは郵政事業が培ってきた伝統でありながら、日本人が持っている一番忘れてはいけない所なのです。


第47回 2017年1月号  寺谷誠一郎・鳥取県智頭町長

見守りサービス「ひまわりシステム」で先鞭
地域密着型の郵便局との連携を協会

 郵便局の果たす役割は大きく、その幅も広いです。郵便局と一緒になって最初に取り組んだのが「ひまわりサービス」というシステムです。このひまわりサービスというのは、町と郵便局とが手を結んで独居老人宅を郵便局員に見回ってもらうという当時は全国でも初めての試みでした。何か異変に気づいたら役場や警察に知らせるというもので、ひまわりとは、暗いところでも光(陽)をあてられるようなという意味です。ところが、郵政事業の民営化を機にサービスが行われなくなってしまいました。今、郵便局から提案してもらっているのは「新ひまわりサービス」というものです。町としても、前向きに捉えています。いうなれば、郵便局と町と社会福祉協議会と住民が協力して、ひとり暮らしの高齢者の安否確認を主眼とするものです。役割分担もこれからですが、郵便局はハガキの配達、必ず手渡しをすることで安否の確認をして頂く。住民はハガキの作成をする。社会福祉協議会はハガキの印刷、発送、対象者の管理、町の福祉課は対象者のデータ提供や予算、広報をやります。ハガキを直接、独居老人に手渡ししながら、安否確認をするところにサービスの工夫があるます。これはまた、郵便局と組んで行うユニークな施策だと思っています。


第46回 2016年10月号  三浦基裕・佐渡市長

市民サービス向上へ郵便局との連携不可欠
買い物支援、ワンストップサービスに期待

 郵便局と地域社会のあるべき姿については、地方によっていろいろ事情が異なると思います。佐渡で言いますと、東京23区の1.4倍の面積の所に6万人弱の市民が分散して居住しています。そのため、市民の満足度を高めるためには、どうしても行政のコストがかかります。その点、郵便局は特定郵便局の時代から地域の生活の拠点、地域の隅々までくまなく配置され、店舗を構えています。郵便局が持っている住民への信頼・絆は行政サービスの補完をして頂くのには最も適していると思います。高齢化への対応をはじめ、郵便局と連携し協力をいただきながら行政を進めるべきだと考えています。郵便局自体は地域のインフラとして郵政サービスを提供されていますが、行政も含めて市民サービスの質の向上を図るためにはどうしても郵便局との連携は必要不可欠です。東京にいる時はあまり考えなかったことですが、この島に戻ってきてしみじみと感じます。

 郵便局も民営分社化により内外を含めていろいろ弊害があったと思いますが、社員の皆さんの努力は利用者が認めているところですし、ゆうパックなど商品・サービスによっては料金が安くなっています。郵便局の存在は、より身近になったのではないでしょうか。


第45回 2016年9月号 坂本 健・東京都板橋区長

自治体、郵便局の連携を密に ワンストップサービスの向上
区の資源を発掘、全国に発信

 郵便事業が手紙文化の振興に力を入れているのは大切なことだと思います。郵便局は便りを運んでくれますが、手紙で結ばれた人々は真心を運んでくれていると思っているのです。手書きの手紙というのは日本の文化です。今はメールなど電子化されたコミュニケーション手段が隆盛のようですが、これではいかにも機械的でぬくもりが伝わりません。私も現在改めて書を手掛けていますが、いわゆる手書きの手紙が見直されているように思います。

 板橋区としては、区の施設や行事を切手に扱っていただき郵便局で全国にPRしていただいています。例えば、板橋区立美術館所蔵の狩野派の作品を「切手趣味週間切手」(平成26年4月18日発行)の題材に採用していただきました。この他にも花火大会や公共交通サービスのコミュニティバス「りんりんGO」の発着風景などを取り扱っていただき、区政80周年の記念切手も発行されました。板橋区の資源を発掘し、全国に発信してもらえること自体ありがたいと思っています。
 郵便局というと、全国規模でネットワークを展開する大きな資源があり、郵便物を各戸に配達する社員の方々、郵便局の窓口で日々お客さまと応対する社員の方々は大変な人的資源です。行政に携わる者から見れば、行政と区民の橋渡しをしてくれるという意味で大きなコミュニティ手段であり、安否確認、犯罪防止など「安心・安全」にもつながると思っています。


第44回 2016年8月号 栗田隆義・香川県まんのう町長

自治体施設と郵便局が併設、利用が一層便利に
地域密着型郵便局の本領を発揮したアイデアを

 (まんのう町役場内及び琴南支所内にも郵便局があることについて)元々は役場の周辺エリアでは農協が簡易郵便局を受託していましたが、農協の統廃合で地域の支所がなくなって、それでは郵便局をどこにしようと考えた時、いっそ役場に入れたらどうかという話になり、四条簡易郵便局として役場の庁舎内に入ってもらいました。また、町の琴南支所には琴南郵便局が入っています。役場に来れば郵便局も利用できるので、我々以上に住民の方々に喜んでいただいていると考えております。琴南支所には郵便局のほかに、内科や歯科の診療所も入れようと考えております。既に社会福祉協議会も入っておりますので、町の人にとって一層便利な場所となることを期待しています。

 郵便局には行政ではなかなか手の届かないところで協力をお願いしたいと思います。具体的に言えば、ひまわりサービスのようなサービスを実施してほしい。最近、一人暮らしのお年寄りは新聞を取らないケースが多くなりました。新聞でもポストにたくさんたまっていれば異変に気が付くのですが…。その点、郵便局なら「郵便局です」と声を掛ければ、元気なら何らかの返事があるでしょう。そういう形で声掛けを実施していただきたい。ぜひ地域密着型の本領を発揮して行政に協力をお願いしたいと考えております。
 まんのう町としては、町役場にも支所にも郵便局が併設されており、郵便局は安心、安全、交流の拠点として町民の皆さんも大変喜んでおられます。


第43回 2016年6月号 三浦正隆・秋田県三種町長

行政も郵便局も「最大のサービス業」
定例議会を傍聴し、町との協力関係を築いて欲しい

 かつて三事業は一体で運営してきた。その中で、郵便事業だけではどうしても赤字だったが、三事業トータルで黒字が保たれていた。そういう良さが今は無くなっているような気がしてならない。そのへんが残念だ。儲かる事業、儲からない事業があるように、郵便局でも儲かる郵便局、儲からない郵便局がある。だから郵政事業は“点”ではなく、“面”でとらえなければならない。

 民営化後、局長の自由度が束縛されているせいか、町で局長の姿を見かけることは少なくなった。私が現役の時はよく町に出たものだ。地域のイベントを含めて地域活動のためにもっと町に出て歩くべきだと思う。企業の経営者や商店主に会って、名前を知ってもらう。地域の中で存在感を示してこその郵便局であり局長である。
 同じことは役場についても言える。郵便局と役場の間に接点は少ない。これをいかに増やしていくか、地方自治体との関係については会社全体で取り組むべき問題ではないか。とりわけ、年4回開かれる定例議会には時間の許す限り傍聴に来ていただきたい。特に初日の施政方針演説や行政報告、一般質問などには、その時点での町の問題点が詰まっている。論点を把握しやすいのでぜひ傍聴をお願いしたい。新聞等で報道されるものは一部であり、実際にはもっと深く掘り下げた議論がなされている。


第42回 2016年4月号 伊藤 実・愛知県豊根村長

行政と郵便局が連携して
交通弱者の買い物支援「ポンタ便」

  高齢社会を迎え、住民の生活も変化が生じている。地元商店はこの20年間で半減するとともに、高齢化に伴う運転への不安も増えている。山あいに集落が点在する豊根村では、車が運転できないと買い物に支障をきたす。現在、550世帯中、高齢者のみの世帯が約半数を占めることからも、日常生活を支援する仕組みが必要だった。

 そこで、日々地域を配達でくまなく巡っている郵便局と村内の商店、行政が連携した全国初の買い物支援サービス『おつかいポンタ便』を2015年7月1日から開始した。「ポンタ」はタヌキをモチーフにした豊根村のマスコットで住民に大変親しまれていることから使用した。
 ちなみに豊根村には豊根郵便局一局しかなく、金融機関も郵便局しかない。このポンタ便は豊根郵便局の配達地域が対象で、富山区(旧富山村)は除かれる。利用には郵便貯金の口座による事前登録が必要。午後3時までに食料や雑貨を扱う登録店5店に注文すると、肉、魚、野菜などの生鮮品を含む商品を専用コンテナに詰め、郵便局が原則翌日に配達する。


第41回 2016年2月号 細井洋行・岩手県西和賀町長

郵便局はふるさと創生の良きパートナー
地域住民の生活インフラとして最後の砦

 国は都市部だけで成り立っているのではない。地方には田畑、山林、自然の恵みがあり、過疎地域であっても人が住んでいる。そうした国土のあり方を考えることは、国の課題であり責任である。私どもとしては、何としてもこの地域を守っていかなければならない。そして、同じように地域を守っているのが郵便局なのだ。

 郵政事業は長い歴史の中で地域に溶け込み、地域に奉仕しユニバーサルサービスを提供してきた。昨年九月、高齢者のみまもりサービスについて地元の郵便局の皆さんと協定を結んだ。郵便局の人は毎日のように地域の隅々を回られる。どうか郵便局の持てる力を発揮して地域情報を提供してもらいたい。特産品のりんどう、西わらびのゆうパックで産業振興にも役立たせてもらっている。郵便局ネットワークを活用して地域ブランドを全国展開できるのは本当に心強い。郵便局は今後とも市町村の良きパートナーであると期待している。


第40回 2016年1月号 更谷慈禧・奈良県十津川村長

郵便局ネットの活用で村民が元気に
安全・安全、コミュニティの維持

 日本一広い十津川村に郵便局以外の金融機関は地方銀行、信用金庫がそれぞれ1店舗しかない。村には7つの郵便局があり、地域の中でなくてはならない存在になっている。
 年金生活者が多く暮らす中、郵便局窓口での年金の受給であったり、郵便物の集配、さらに交通手段がないのでゆうパックを活用してお米や野菜を自宅に送ってもらったりしている。郵便局では一人暮らしのお年寄りの安否確認、道路の損壊情報の提供などもしてくれる。
 郵便配達の際に会話のきっかけが生まれ、人と人との交流ができる。郵便局は村のコミュニティを維持するために不可欠な存在であり、ユニバーサルサービスは村の存立そのものにかかわっている。

 日本の国土面積の約70%を占めているのが中山間地域であり、言ってみれば、中山間地域に暮らす人々が国土保全の大きな役割を果たしているのである。
 郵便局ネットワークの存在と活用によって村民が元気になる施策がこれから必要になるであろう。


第39回 2015年12月号 上村憲司・新潟県津南町長

郵便局長、郵便局の存在大きく
行政とリンクして町づくりを実践

 郵便局の皆様方を中心として、行政を主体にした町というものと強くリンクして町づくりを考えていただくだけでなく、一緒に実践もしていただく。そういう時代が果たして過去にあっただろうか。郵便局長さん、郵便局の存在がこれだけ大きくなったと感じるのは自分の人生の中で初めてだ。それだけ皆さんが郵政民営化以降、苦労されたこととお察しする。民営化に打ち勝ち、負けないでいこうという現れではないだろうか。凄まじささえ感じる。

 郵便局の人たちはもちろん“便り”を運んでくれるが、地域の人たちにとっては“心”を運んでくれるのではなかろうか。特に山間部の人たちは言葉には出さないまでも、“心”を運んでくれると強く感じているに違いない。ユニバーサルサービスは非常にありがたい話だが、市場論理が優先すれば、それも難しくなるのではなかろうか。
 津南町でも町づくり協議会を開き、局長会の皆さんにも参加いただいている。町の人たちの将来の安心・安全を考える協議会であり、今後もいろいろご提案いただけるとありがたい。


第38回 2015年10月号 加藤和夫・秋田県八峰町長

国民の幸福のためのユニバーサルサービス
確保対策、政治判断があって然るべき

 郵便ばかりでなく、貯金や保険にもユニバーサルサービスを課した以上、政治の責任もあるわけであり、株式上場後のきちっとした対策、手立ては今から考えるべきであろう。一方で利益を追求しながら、地域性、公益性を守れということ自体背反している感じを受ける。郵便局のネットワークを使って国民の幸福のためのユニバーサルサービスを課すわけだから、それに対する政治判断があってしかるべきだと思う。

 平成22年から郵便局と協定を結び、ワンストップサービスとして、住民票の写しや印鑑登録証などの交付事務をお願いしている。ほかに、道路損壊情報の提供、チラシや新聞が郵便受箱にあふれているお年寄り宅の情報提供などもお願いしている。
 高齢化社会を迎えて、高齢者にとって最も身近にあるのが郵便局なのだ。それを思うと、地方自治体と郵便局はもっともっと連携を強化しなければならないと考えている。


第37回 2015年9月号 高橋昌幸・北海道神恵内村長

村内唯一の金融機関、郵便局は命綱
ワンストップによる金融サービスの拡充を

 神恵内村にとって郵便局は唯一の金融機関、いわば命綱なのだ。よく行政のワンストップサービスと言うけれども、ワンストップでの金融サービスの拡充を望む。私事だけど、業者の取引によっては地方銀行に口座の開設を、と言われることがある。地方銀行に行くには、神恵内村から車で30~40分かけて岩内町まで行かなければならない。車を持たないお年寄りにとってはきわめて不便だ。

 郵便局の他に選択肢がないのだから、一般の金融機関が扱っているサービスは全て付与すべきだと思う。我々利用者の側から言わせてもらえば、限度額を含めてサービスだけはスタートラインを同じにしてほしい。今はいびつな構造になっている。いろんな状況を勘案して、最も弱い立場にある人や地域にきちっと基準を置いて考えるのがナショナル・ミニマムだ。


第36回 2015年8月号 藤本昭夫・大分県姫島村長

一島一村で最も大切な地元密着
社員も地元からの雇用を期待

  郵便局は地域にとっては欠かせない存在だ。一島一村の中にあって保育所、幼稚園、小学校、中学校もすべて一つ。郵便局もあって当たり前で、姫島では郵便局が廃止されたり統合されたりするという不安は誰も持っていない。三事業を扱う郵便局は生活の基盤を守る、地域社会のインフラだ。さらには村民のコミュニティの場としての存在価値も有する。姫島郵便局で平成24年に振り込め詐欺を未然に防いだが、これも村民のことを良く知り、顔の見える業務を行っているから対応できたのだと思う。

 一島一村の姫島村にとって最も大切なのは地元密着だ。人のつながり、顔見知りであるということが強みになる。地元の人であればいろんな面で情報も入れてくれる。郵便局に対する要望として、地元からの雇用を確保してくれると大変ありがたい。


第35回 2015年7月号 小林昌司・鳥取県若桜町長

地方創生協議に郵便局も参画を
農道清掃、地域住民と局長会が協働

 地域貢献に意欲のある企業・団体と農村が連携し、農業や農村の活性化につなげる「とっとり共生の里」事業がある。本年3月、「共生の里」事業で若桜町の小船集落と因幡郵便局長会とが協定を結んだ。早速、4月中旬に第1回目の活動を実施。郵便局長会と小船集落から約100人が参加し、道路清掃や草むしり、農業用水路の泥上げなどを行った。大変活気のあふれる活動が展開され、地域住民の郵便局に対する人気度も日増しに高まっている。

 最近では、池田郵便局前に町営バスの停留所ができたのを機に、町から薪ストーブを池田局に寄贈した。当地の冬は厳寒で、とても停留所では待っていられない。しかもお年寄りが多い。そこで郵便局が待合室がわりになっていただいている。仕組みは、郵便局の屋外に設置された「回転灯」を回すことで、バス乗務員に乗客がいることを伝え、安心したバスへの乗車が出来るシステムとなっている。池田局には町指定のごみ袋の販売もお願いしている。


第34回 2015年6月号 和多利義之・広島県府中町長

地域住民の平和な暮らしを守る郵便局
ネットワークの利便性は計り知れず

 郵便局の全国ネットワークというのは、先人が営々と築き上げた見事な体制で、国民生活の安心、安全または交流の拠点である。他の民間金融機関がある所はまだしも、無い地域でも、身近なところには必ず郵便局があるという現状は、国民生活やお金の管理、地域の人たちにとっては年金の受け取りや防犯上からも、地域住民の平和な暮らしを守っていく上に大きく貢献してきている。

 おそらく郵便局によっては、極めて採算性が良くない所も多々あると思うが、民営化されたと言っても公益性、公共性の姿を残しているから、相互補完し切れているのだと思う。だから、効率化一辺倒の完全民営化ではネットワークを維持していくのは危ういのではないか。そうなれば一層郵便局離れが進むだろう。そこを心配している。


第33回 2015年2月号 鈴木直道・北海道夕張市長

全国初、廃校舎に郵便局移転
財政の健全化と地域の再生

 夕張市は高齢化率が47%と日本の市で最も高い。ほぼ半数が高齢者という中で郵便局がまさに生命線になっている。東京23区の面積よりも広い夕張市で生活していくうえで郵便局は非常に大きな存在になっている。夕張市には簡易局1局を含めると市内に13の郵便局がある。一方で、民間の金融機関は地域からどんどん撤退している。

 郵便局の数が多いとか少ないという議論ではなく、各郵便局がその地域にどういう位置付けで機能しているか、経済性だけではない側面で考えていかなくてはいけないだろう。公的な側面が強い郵政の皆さんが他の金融機関と同じようなことをやってしまったら各地域は生きていけなくなる。

 夕張市では廃校舎の活用を促進しており、このほど、障がい者スポーツ施設、郵便局、在宅ヘルパー事業所の三者が一緒に入ることで落ち着いた。高齢者だけでなく、若い世代や障がいを持った方々など多くの方が利用できる施設にしたい。郵便局をご縁にして、かつて多くの人が集まった学校に再び人々が集まってくることは大変素晴らしいことだ。


第32回 2015年1月号 斉藤滋宣・秋田県能代市長

地方行政は郵便局との連携強化に期待
郵便局は地方行政にとって最も良きパートナー
もっと評価されるべき郵便局の多面的機能

 何といっても、地域の皆さんは本当に郵便局を頼りにしている。郵便局の形態が変わりつつあるのも確かだが、その存在感自体は変わらない。我々の地域は疲弊してきて様々な問題を抱えているが、住民の安心・安全のためにも郵便局との連携、支援に期待するところが大きい。我々も局長さんたちと定期的に意見交換会を行っているが、我々はこれからも郵便局を応援するし、一緒にやっていけるところはやっていきたいと考えている。

 地方自治体の財政は厳しく、能代も例外ではない。私が市長になってこれまでの8年間で、職員を200人減らしている。これからも減らすことになるだろう。それを考えると、減じた職員の補填をどのようにするか、しかも住民サービスの維持を考えると外注するより方法がない。しかし、外注して、市民の皆さんが安心してサービスを享受できるような外注先、事業体はそう地方にはない。将来的には、地域に貢献されている郵便局に、我々の業務の一部を代替えしてもらう時代が来るかなという気がしている。今のうちに地方行政の業務内容を一度総点検してみたいと考えている。


第31回 2014年11月号 伊藤博文・長野県小川村長

郵便局は小さな村の最後の拠り所
地域文化を下支えする施策展開を

 郵政事業の民営・分社化については内部的に随分戸惑いがあったように思う。 分社化によって使い勝手が悪くなったなどという話も聞いたが、元々郵便局の応対はお役所的な紋切り型ではなかった。郵政民営化法が改正されてスッキリした形になり、お役所的なイメージを取っ払ってだいぶ使い勝手が良くなっているようだ。 郵便局は様々なサービスができると考える。たとえば、田舎において交通の便のないお年寄りの代わりにいろいろなことを代行してもらいたい。インターネットでは手が届かない用事がたくさんある。そういった面までサービスを広げてもらえればと期待する。

 村のお年寄りの中には、郵便配達で回ってくる人にしかめったに他人に会えないお年寄りもおり、声を掛けてくれるだけで喜んでいる。

 お年寄りの見守りサービスまでやってくれれば行政から見て言うことはない。安定的にサービスを提供してくれる郵便局の力は大きい。今後も地域文化を下支えするような施策を展開してもらいたい。


第30回 2014年9月号 山下貴史・北海道深川市長に聞く

地方の視点から郵政も農業も守り抜く
今後も金融・郵便の全国一律サービスを

 郵政民営化論議では、金融事業を切り離し、郵貯は銀行法上の銀行に、簡保は保険業法上の保険会社にするというのが基本的な考えだった。非常に疑問だったのは、例えば、三大メガバンクのような金融機関と伍して競争していく会社になるのかということ。銀行法上の銀行になるということはそういうことを意味する。競争にさらされていけば、田舎の郵便局から金融の部分はいずれ抜け落ちていく。郵便局に行ってもはがきや切手を売っているというだけではありがたみは少ない。郵便事業だけなら各地に小さな郵便局を持つ必要がなくなってくる。郵便局舎がなくなり、クルマで遠くまで行って年金をおろさなくてはいけないような地域には、いずれは人も住まなくなる。潮が引くように地域社会が小さくなっていくのが見えるのである。

 郵政民営化法が成立して、その後どうなるのかと心配しながら見ていた。一昨年の改正郵政民営化法によって、常識的な線に考え方を戻すようになり、少々安心はしている。でも、ユニバーサルサービスを維持していくには、貯金も保険も郵便も三位一体でなければ維持できないだろう。


第29回 2014年8月号 成原 茂・岐阜県白川村長に聞く

行政と郵便局との絆を堅持
過疎地からの郵便局撤退はあってはならず

 今も郵便局の皆さんと行政とは密接な連携が図られている。たとえば、白川村では、子ども110番だとか道路損壊情報の提供、不法投棄物情報の提供など、行政に対して側面からご支援いただいている。こうした小さな村だと職員数は非常に少なく、村内を定期的にパトロールすることはとてもできない。その点、配達員の方々はほぼ毎日、村内を行き来している。

 局長さんにもよく話すことだが、郵便局員の方には「影の民生委員」をやってもらっていると思っている。たとえば、郵便の配達に行って郵便物や新聞などたくさん溜まっていることがある。都市部ではそういうケースはよくあることだが、田舎では滅多にない。高齢者家庭でそういうケースがあれば何らかの異変があるということ。そういう異変に気づき、声掛けをしてくれる配達員の方々の存在自体、行政にとって大変ありがたいことなのだ。行政としてもいち早く対策を打つことができる。

 白川村のような小さな村には、都市部では考えられないほど、行政あるいは地域住民と郵便局とは絆がある。こうした絆はこれからも堅持したいものだ。


第28回 2014年7月号 大平悦子・新潟県魚沼市長
          青木 進・全国郵便局長会副会長
          信越地方会長、魚沼地区会長に聞く

郵便局は地域社会の重要な要 地域活性化は不変の課題
見守りなど郵便局との連携期待

大平市長 山間地や過疎地を多く持つ自治体にとっては郵便局との連携は必要不可欠になってくると思います。そうした地域に住む人たちの生活に最も身近な存在が郵便局だからです。

  たとえば、郵便受けに郵便物が溢れてきて、「ちょっとこれはおかしい」と異変に気づくのは郵便配達の方です。そうして得られた情報を市に連絡していただくといった連携は大切です。いわゆる見守りです。もちろん市側でやらなければならないことですが、市も財政が厳しく職員数も減っていることから、一人ひとりの高齢者まで目が行き届かなくなっているのです。

  私たちは常に地域活性化のために何ができるか、何が必要かを考えています。ですからいろいろなご提案をいただけることは大変ありがたいことです。

青木会長 まちづくり協議会が年一回開催されています。私どもも参加させていただき、市長などから要望を承り、PRでもボランティアでもいろいろお手伝いをしようと思っています。むしろ道路やカーブミラーの損壊情報の提供などに関して協定を締結させていただければと思っています。地域活性化、地域貢献は私たち郵便局の目指すところだからです。


第27回 2014年6月号 神田強平・群馬県上野村長に聞く

行政との繋がり、さらに密に
山間地は郵便局だけが頼り

 限界集落解消のため、敢えて高齢者の多い不便な地域にIターンの人たちのための村営住宅を建てた。ところが今年2月の大雪で、そうした地域が孤立化してしまった。村営住宅の若い人たちは、都会育ちで近くにはコンビニやスーパーがあったものだから、安易な考えで食料の蓄えもない。大雪による孤立化でたちまち食料が底をついてしまった。この地で生まれ育ったお年寄りは、半年くらいの食料は常に備蓄している。そこで、孤立化した地域のお年寄りが「うちにおいで。米もある芋もある。野菜も保存食もあるから」とIターンの若者に声を掛けた。住民どうしの助け合いで孤立化の難を逃れることができた。

  自然災害が発生した時、行政の手が届かない所で頼れるものは何といっても郵便局だ。山間地に行くほどその傾向が強く、住民は「郵便局の人が来ると“ホッとする”」という。

  郵便局の集配の人たちは日々村内を回られている。だから村内の情報入取は図抜けている。日々回りながら何か異変を感じたときには、ぜひ役場なり警察なりに連絡してもらいたい。そうすればより早く手が打てる。


第26回 2014年5月号 長田富也・山梨県道志村長に聞く

郵便局ネットワークを十分に活用し
地域の特性や住民ニーズに合った事業展開を

 道志村では平成24年度から情報通信施設の戸別端末器を利用し、見守り声かけサービス事業「にっこりコール」を実施している。また、村内の民生委員やボランティアの方々の協力により、高齢者を対象にしたデマンドバスによる買い物ツアーも実施し、誰もが安心して暮らせる福祉村を目指している。主に国の事業を活用し、過疎地域の支援、活性化を図っている。

 日本郵政においても、総合生活支援企業として、郵便局の「みまもりサービス」、24時間電話相談、買い物支援サービスなど地域限定で試行中と聞く。今後、郵便局と村が事業協力できれば、住民サービスの向上につながると思っている。

 郵便局は日本最大のネットワークを持っている。これを十分に活用し、それぞれの地域の情報を利用したビジネスを拡充することができれば、それぞれの地域にとって有益なものになると思う。特産品の通販、アンテナショップ、観光情報の提供など、可能性はたくさんあろうかと思う。今後、郵政のあるべき姿として期待することは、地域の特性や住民ニーズ合った事業を展開し、ユニバーサルサービスとしての役割を果たしていただきたい。


第25回 2014年3月号 山口信也・福島県喜多方市長に聞く

郵便局は日本の均衡ある発展に貢献
温もり、心と心の繋がりを大事に

 郵政事業、郵便局は明治四年の創業以来、国民生活を支える公的なサービスとして運用されてきており、特に、全国津々浦々、離島や山間地であっても郵便局が置かれたことは日本の発展に大きく貢献した。一枚のハガキも郵便局ネットワークのおかげでどこにでも配達される。また、植物の苗や種を送るための郵便料金は安価になっており、農業の発展にも寄与している。私は、日本の均衡ある発展は郵便局のおかげだと言っても過言ではないと思っている。

 小泉政権の時に民営・分社化された結果、以前はちょっとした用事でもふらっと寄れた郵便局が、郵便と金融が縦割りになってしまい、局に入りづらくなったという市民の声を聞く。当時、小泉総理は「官から民へ」と言っていたが、経済合理主義だけではなく、郵便局には温もりが必要だ。心と心が繋がるような郵便局、これは企業性ばかりを追う会社では真似のできないことであり、心を持って郵政事業を進めていただきたい。郵便局が温もりを取り戻すようにどう特徴づけていくかが今後の課題だろう。


第24回 2014年2月号 石森孝志・東京都八王子市長に聞く

行政も郵便局も市民目線でサービス提供
高齢者の見守りなどで連携強化を期待

 八王子市は広域なためだが、各地域に郵便局が設置されている。その点では郵便サービスはもちろん、貯金、保険の金融サービスも地域には欠かせない存在となっている。「三事業サービスを提供する」これが本来の郵便局のあり方だと思う。郵便局は地域住民にとっての生活の拠点であり、相談相手にもなってくれている。たとえば、振り込め詐欺などの予防で高齢者に声を掛けてくれているようだ。市内の山間地域などから郵便局が撤退するということになれば大変だが、今のところそうした動きもないようだ。

 今後への期待という点では、市民目線で郵政サービスを展開していただきたいということに尽きるだろう。とにかく行政としては、いろいろなご支援をいただき大変助かっているが、さらに行政の補完的役割を担ってもらいたい。

 ひとり暮らし高齢者世帯や老老介護世帯も増加している中で、郵便局員の方々には、一層の見守りと地域の情報について、市との連携強化などを期待している。


第23回 2014年1月号 清水聖義・群馬県太田市長に聞く

郵便局はトータルビジネスが生命線
郵政のマンパワーで地域の活性化を

 民営化前の郵便局は、自治体との密着度が強かったように思う。今は地域とは密着しているかもしれないが、行政とはずいぶん離れたと思っている。かつては私たちが郵便局に行けば、身の回りのことから将来の生活設計に至るまで、何でも相談にのってくれた。今日の問題から明日の問題まで一括して扱っていた。いわゆるトータルビジネス、トータルサービスで郵便局の存在価値があったと思う。それが民営分社化後は、手紙や荷物を運ぶ部署、貯金や保険など将来設計に関わる部署がはっきり区別されてしまった。どこを修復すればいいか分からないけれども、少なくとも三事業は一体的に経営してほしい。

 ユニバーサルサービスはとても民間ではできない。過疎地の住民にとって郵便局が無くなるのは大変なこと。しかも、新規事業をやらせてもらえないと競争にもならない。競争はベースが一緒の上に成り立つ。考えただけでも郵政民営化は自由になっていない。競争のできない環境の中に置いて、競争をやれということ自体、どだい無理な話だ。


第22回 2013年12月号 若生英俊・宮城県富谷町長に聞く

郵便局の存在は地域再生のカギ
住民の要望で生協敷地内に郵便局誘致

 「富谷明石台郵便局」は今年(平成二十五年)三月十二日に開局した。郵政民営化後、東北では初めての新規開局であり、地域の皆さんにはとても喜んでいただいている。私が地域の要望を郵便局会社(当時) 東北支社長にお伝えして以来、長年の悲願が実った。生協敷地内という格好な敷地に新局舎が誕生したことについては、局長さん方の並々ならぬご努力があったと思う。その思いが地権者にも伝わり、話はスムーズに進められたと聞く。これも郵便局に対する町民の支援と理解があったからこそである。署名も効果があるだろと自治会や町内会に声を掛けたところ、短期間で約三千名の署名が集められた。

 住民が喜ぶことは、私どもも望むところ。また、郵政事業にとっても二十年先、三十年先を考えたら、間違いなくプラスになると思う。よくウィン-ウィンの関係と言われるが、まさにその通りとなった。


第21回 2013年11月号 栗林次美・秋田県大仙市長に聞く

郵便局と自治体との新たな連携を
ローカルに相応しい仕組みづくりも

 国の政策はすべて東京感覚で考えられるが、ローカルにはローカルの施策が必要だ。郵政の民営化は、都市思考の考え方の典型だと思う。郵便、貯金、保険の三事業はもともと公共的要素が強く、その象徴的存在が郵便局である。それが郵政民営化によりぶち壊されるのではないか、郵便局も無くなってしまうのではないかと危惧していた。

 我々はちょっと不便になったからといって、住んでいる所をそう簡単に引っ越すわけにはいかない。まして高齢者は土地に愛着があり、また移動も困難で、できることなら次の世代に引き継いでもらいたいと考えている。郵便局は、住民が幸せに暮らす上で一つの大事な要素である。郵便局のような金融や通信を扱う機関が地域から無くなれば、住民は生活しづらくなる。過疎化、人口の減少は進んでいるが、郵便局だけは地域で何とか機能してもらいたいと思っている。


第20回 2013年10月号 日高光浩・宮崎県高原町長に聞く

郵政事業と医療、守るべきものは守る
国が財源補填してでも等しくサービスを

 市場万能主義や費用対効果を重視した利益の追求ばかりが前面に出てくると国の存亡にかかわってくる。私は、国が補助金を出してでも日本人が等しくサービスを受けられることが大切だと考える。

 今後も郵政事業の恩恵を等しく享受できるようにすべきである。医療と同じで、守るべきものは守るという体制を確立する、つまり国が財源で補填してでも残していかないと日本の美しい国土は守れないと考える。

 この高原町も、住民一万人の生命と生活を守るために、財政負担してでも病院と郵便局を守っていく。そうでないと、東京一極集中で地方は寂れ、日本の将来は大丈夫なのかと感じざるを得ない。地方部、農村部があるから食料が安定供給され、癒しがある。日本人としての誇り、輝きを持ちながら生活が営めるのだ。


特別インタビュー 2013年9月号 「自立・挑戦・交流」 離島発!地域再生への挑戦

山内道雄・島根県隠岐郡海士町長に聞く

 平成14年5月に町長に就任したが、その時に「役場は住民サービス総合株式会社だ」と話した。地域経営は企業経営と同じだと思っている。住民というのは、言い方を換えれば税金を納めた株主。本来は住民サービスを受けるお客様なのだが、以前の職員は仕事をやってやるという感じだった。まずはその意識を変えるために、年功序列を廃止して適材適所主義、組織を現場主義に再編した。

 民営化で郵便局は良くなるどころか、地域から遊離してしまうような組織にしてしまった。地域の皆さんは本来、郵便局は身内だという意識を持っている。昔のような使い勝手のよい郵便局に戻してほしいし、戻せるものは見直していかなくてはいけない。郵便事業にしても収支は厳しいと思うので、今後多角的な事業展開をしなくてはいけないだろう。ただ、その前に見直すべきことはある。郵政事業の原点は人を遇することだと思う。


第19回 2013年9月号 佐渡斉・千葉県四街道市長に聞く

自治体と郵便局の広範な連携
地域住民との絆の強化を期待

 かつて郵便局との連携の中で住民票の交付も考えたが、立ち消えになっており、ぜひ復活させたい。また、お年寄りの買い物を手伝ってもらえないだろうかと思っている。四街道市内も大型店舗が進出して、地域の商店街はシャッターを閉めた店舗が目立つ。市としても地域の活性化を図るため、空き店舗を活用した新たな取り組みを今年四月から始めたが、なかなかうまくいかない。このため、郵便局には買い物の取次ぎと配送をお願いしたいと考えている。お年寄りの見守りサービスも郵便局に協力してもらいたいと思っている。

 局長さん方が日々地域のために活動されていることはよく分かるし、局長さんも若返り、職員さんも若く活動的だと感じている。郵便局の皆さんが日々一生懸命になって地域の方々との絆を強くしていこうとしている努力は、必ず報われると思う。今後の活躍に期待したい。


第18回 2013年8月号 市木久雄・和歌山県日高川町長

バランスのとれた行政を推進
郵便局には地域の見守り役を

 郵便局への期待という点で言えば、やはり昔のような地域密着の形をぜひとも取り戻してほしいと思います。お年寄りが非常に多くなってきている中で、例えば、火の消し忘れであったり、家の中で転倒し足腰を打って動けなくなってしまうなど、あちらこちらでそういう事象が起きてくる可能性があります。配達途上で何か異変があればすぐに役場や警察、消防などに連絡していただく、いわば地域の見守り役も兼ねていただければと思います。また、子どもたちが一人暮らしの高齢者に励ましのお便りを書く運動について、地元の局長さんからご提案をいただいております。

 郵便局の皆さんは地域社会の担い手です。地域の祭りなども若い方々がいなかったら次の世代に継承していけません。今後も地域の活性化や伝統文化の継承にご尽力いただければ大変ありがたく思います。


第17回 2013年6月号 北岡篤・奈良県吉野町長

地域密着の郵便局を取り戻し
町の元気づくりの一翼を

 郵政民営化で何が一番不都合だったかと言えば、住民目線からかけ離れてしまったことです。住民と最も密接につながっていたはずの郵便局が使い勝手の悪い方向に動いてしまいました。今回民営化の見直しが行われたことは地方行政の立場からもありがたいことです。地域住民との密着、コミュニケーションを改めて取り戻してほしいですね。

 全国多くの自治体が協働のまちづくりを推進しています。吉野町も住民と行政が一体となってまちづくりに取り組む、協働型社会の構築を目指しています。ただ、行政が町を引っ張るのではなく、あくまでも町民が主役で活気のある町にしていくことが大切で、役所はそのお手伝いをするということです。

 郵便局の皆さんにも各地域のイベントなどに積極的に関わっていただき、町の元気づくりの一翼を担っていただければと思います。


第16回 2013年5月号 西川将人・北海道旭川市長

地域社会が成り立つ中で、郵便局は重要な組織
合理化を求めて、廃局、サービスダウンを懸念

 民営化にあたっては、行政改革につながるという期待感が生まれた一方で、事業の合理化により、従来と比べてサービスが低下するとの危惧も少なからずあったように思っています。特に過疎地域を抱える道内においては、国鉄の赤字ローカル線が次々と廃止になった例を出すまでもなく、各地域の郵便局の存在意義や不安は大きかったものと認識しています。また、当初は窓口が細分化されたことにより、利用者側の戸惑いもあったように聞いております。今後とも地方切り捨てにつながらないよう、注視していく必要性があると思います。利用者側の視点に立った利便性の確保や、さらには、民営化したからこその新しい取組み、サービスの充実に大きな期待が寄せられていると思っていますし、地域にあっては郵便局の存在は非常に大きく、万が一、郵便局が無くなるということになれば、地域社会は衰退してしまいます。


第15回 2013年4月号 全国町村会長 藤原忠彦・長野県川上村長

郵便局は地域密着型で、総合力の発揮を
行政は目的意識と危機感を持つことが不可欠

 私はいつも「三風の原則」を言う。つまり、風土、風習、風味という三風が大事だという意味。これを事業展開に利用したほうがいい。

 郵便局の最大の強さが地域との連携だと思う。風土に見合った施策を見出していけば、また違った展開も出来る。いろいろ考えてみると、地域と郵便局という親戚のような集団の中に、郵政民営化という国策の名のもとに手を突っ込み、荒らしたようなものだ。郵政事業が長年培ってきた歴史とか、地域住民とのつながりとか、絆、風土が育んできた郵政事業をまったく無視して方向転換したところにすべての問題がある。郵政民営化は都市設計型の手法を全国一律に押しつけた。とはいえ、改正郵政民営化法が施行され、郵政事業は新たな動きを始めようとしている。今後も、地域という視点に立って、その推移を注視していきたい。


第14回 2012年11月号 伊藤喜平・長野県下條村長

郵便局は地域密着型で、総合力の発揮を
行政は目的意識と危機感を持つことが不可欠

 郵政民営化は、総論で言うと、自由経済社会の中でその趣旨は良かったと思うが、法律にすると最大公約数的なものになる。それに全部当てはめようとするのは愚の骨頂だ。自由経済と統制経済とはどちらが良いかと問われれば誰しもが自由経済と答える。しかし、これで百点満点かというとそうではない。どうしても強い者、大きい者が勝つ。強引にやればここから外れた者は蚊帳の外となり、人間性のない貪欲なハゲタカ集団がますます調子づく。

 郵政民営化はいわば心を失った社会の象徴で、ラインから外れた者はほとんど意欲を失っている。民営化だけならまだしも分割までしてしまった。机上計算の弊害であり、一番失ったのは心だ。


第13回 2012年10月号 大谷範雄・栃木県那須烏山市長

郵便、金融ユニバーサルサービスの維持が前提
郵便局と行政が手を携えて住みよいまちづくりを

 行政においては「二重行政」や「縦割り行政」が批判の対象になってきましたし、その解消は今も大きな行政課題です。民主党が「改革の一丁目一番地」に掲げた地域主権改革によって打ち出された国と地方の役割分担の見直しも、二重行政を解消し、効率的な行政運営を進めることが目的の一つでしょう。しかし、それはユニバーサルサービスの維持が前提であり、郵政の民営化・分社化は結果としてこれまでワンストップで処理してきた郵便、郵貯、簡保の各サービスがそれぞれ別々になり、全体として非効率化を生んだように思います。いわば、「縦割り行政、二重行政」ならぬ「縦割り郵政、二重郵政」になり、利用者の利便性からかけ離れた体制になっていますし、効率化の面でも逆行しているのではないでしょうか。


第12回 2012年9月号 辻一幸・山梨県早川町長

郵政事業は日本の心が凝縮
郵便局の存在感と価値を取り戻して

 郵政事業は公共性、公益性の高い事業であり、一方的に民営化して民間並みのことを始めようとしたら、事業にとっても国民にとってもマイナス面が出るのは当然だ。私は郵政民営化の話が出た当初からそのことを心配していた。

 郵便局、郵政事業には日本の心が凝縮されていたと考える。日本の心は何かというと、お互いが助け合う心、思いやる心だ。地域の郵便局にはそういうものがあり、住民は心の拠り所とし、役場、行政とは違う繋がりがあったように思う。こういう大切なものを無視して効率性重視に切り替えてしまったことは残念としか思えない。


第11回 2012年8月号 坂本義次・東京都檜原村長

環境でリードする村づくり、施策は他に先駆けて
郵貯銀行を自治体の指定金融機関に

 (衆議院郵政改革特別委員会での参考人陳述で「郵貯銀行を指定金融機関に」と発言したことに関し)平成十七年の郵政民営化で当然郵便局が指定金融機関になるものと思っていたが、いまだにそうなっていない。檜原村の指定金融機関は某大手銀行の五日市支店からあきる野支店に変わった。銀行の職員がタクシーを利用するなどコストもかかった。仮に郵便貯金が指定金融機関になれば、村は応分のお金を預け、運用してもらったり、手数料も支払うことで支援できる。私どもとしては、郵便局が赤字で閉鎖されたら困る。郵便局と自治体がお互いに支え合えば、郵便局も自治体も残っていけるであろう。


第10回 2012年7月号 千明金造(ちぎらきんぞう)・群馬県片品村長

住民が選んだ「反合併」自立の道
郵政見直しは、地域の人たちとの繋がりの中で

  郵政が小泉政権によって強引に民営・分社化されたように、小泉さんは三位 一体の改革と言いながら、ヒト、カネ、モノを全部大都市に集中しようとした。合併した自治体は相当数あったが、以後の経緯を見ても、合併して良かったという自治体は皆無に等しい。(片品村は)住民投票の結果、圧倒的多数で合併反対、事実上、自主自立の道を選んだ。

 改正法が成立したばかりで、郵政の見直しがどのように進められていくのか不明な点が多いが、良い方向に向かうだろうとの感触は得ている。また、民営化前に実施していた施策でも地域の利用者が要望するものは復活していくべきだ。郵政の改革、見直しは地域社会や地域住民との繋がりの中で実施してほしい。


第9回 2012年6月号 中山一生・茨城県龍ケ崎市長

郵便局は安心、安全の拠点
存在感失わず、地域に貢献を

 時代の流れが変わって地域社会の絆が希薄となっていますが、そのような時代だからこそ、郵便局が安心・安全、交流の拠点となって地域に貢献していただく。郵便局は地域社会の生活の拠点であるとの認識であり、民営化された今でも地域社会における郵便局の役割は非常に大きいものがあると思います。
  民間企業として今後どのような事業展開をなされるのか、市民の皆様は期待感を持っていると思います。更に世界の競争社会でどのような存在感をアピールするのか、今、大きく注目されているTPP(環太平洋経済連携協定)も踏まえ、これからの国政をどうするかという視点で国力を弱めることがないような郵政改革であってほしいです。


第8回 2012年5月号 猿田寿男・千葉県勝浦市長

郵便局には「新しい公共」の一翼を
「元気な勝浦」全国発信・PRに期待

 地方行政にとって郵便局の役割に対する期待は今も変わりません。郵便も、鉄道も、日本国土の「血管」に例えられます。ご存知のとおり、鉄道は人・モノを運んでくれますが、郵便は心・ハートを運んでくださり、どちらも大切な生活インフラです。自治体も税収が少なくなってきていますし、何でもかんでも市役所が対応できる時代ではなくなり、企業、NPOなどとの連携で行政を進めていかなくてはなりません。郵便局には、この「新しい公共」の一翼をぜひ担っていただきたいと考えています。


第7回 2012年2月号 田上正男・長野県上松町長

国民、利用者本位の真の郵政改革を

 郵政事業が民営化され一番支障が出たのは地域に暮らす高齢者だと思います。会社が分かれたことが原因でしょうが、とにかく地域の利用者にとって不便になりました。郵政事業は国民に等しくサービスを提供することが趣旨であり、利用者の実態や地域性を考えた上で改革してほしいと思います。OA化の時代を迎え、インターネットで何でも処理できるようになりましたが、そのために人と人、顔と顔のつながりが薄れてきました。そうした中にあって郵政事業は特に人と人、顔と顔のつながりが必要な事業だと思います。


第6回 2011年12月号 井口一郎・新潟県南魚沼市長

自治体も地域の皆さんも、
元の姿の郵便局を望んでいる

 行政にとっても利用者にとっても、できれば民営・分社化でなく、郵便局を元の形に戻してほしい。南魚沼市の十二地区には今のところ全ての地区に郵便局がある。六日町、大和、塩沢の中心部は人口が集中しているが、一歩離れた所には銀行もなく、農協も撤退、年金を受け取れるのは郵便局だけとなっています。採算が悪いからと廃局にでもなったら大変なことです。コンビニにATMがあるじゃないかと言われても、手数料は取られるし、お年寄りには使いづらいし、顔見知りもいないので行きにくいのです。


第5回 2011年10月号 髙野宏一郎・新潟県佐渡市長

郵政改革法案成立は地域活性化の最低条件
離島や過疎地に以前の郵便局の姿を取り戻してほしい

 私は先の(郵政等三党合意を実現する会の)講演で、郵政改革法案の成立は地域活性化の最低条件と申し上げました。法案自体完璧ではなくても早く手を打つべきで、早くやらないとシステム自体が崩壊するのではないかと思います。ライバルに大きく遅れを取っては困るのではないか。郵政はそれなりに体力もあるしネットワークの強さもあるのだろうから急にどうのこうのということはないにしても、ライバルとの力の差がついてくれば、太刀打ちできなくなることも出てくると思います。


第4回 2011年9月号 伊東香織・岡山県倉敷市長

郵便局は地域社会で欠かせぬ存在
心打たれた震災被災地での活躍

 郵便局の良いところは、地方などの赤字を都市部などで補填する、郵便事業の赤字部分を貯金や保険事業で補填しながら局として全体のユニバーサルサービスの機能を果たしていくことで、これが本来の姿だと思います。現在の四分社化された状況では、シナジー効果などがなくなってしまいましたので、三事業の一体的な運営は難しいと思います。郵便局ネットワーク自体が維持できなくなるような方向に持っていってはいけないと思います。やはり郵政改革をしてもらわないといけません。


第3回 2011年8月号 島田茂樹・長野県栄村長

長野県北部地震から復旧・復興を目指す栄村
郵便局は安心・安全の拠点

 栄村のように人口が2000人くらいしかいない村に、郵便局が四局もあるということは貴重な存在です。将来的には郵便局がご用聞きみたいなお手伝いをしてくれるようになると期待しています。栄村でも高齢者が多いので、高齢者宅を回って健康状態などをうかがい、こちらに連絡していただければありがたいと思っています。村の施策として『下駄履きヘルパー』というものがあり、デイサービスなどで回っていますが、ぜひその補完的な役割を果たしていただきたい。生活用品なども扱ってもらえれば助かります。


第2回 2011年6月号 茂原荘一・群馬県甘楽町長

地域に溶け込んでいる郵便局は
地域コミュニティの核

 町民の皆さんがこの町に生まれ、住んでいて良かったと思えるのは、行政のサービスを低下させないことが第一に考えられます。それと同時に、地域に郵便局のような公共的なサービス機関があるということも住民にとって必要です。その意味でも、郵便局は元の形に戻ってもらいたいし、自治体としてもできれば応援したいと思っています。(郵政改革)法案の中身をそれほど詳しく理解しているわけではありませんが、町民にとって期待される郵便局になってほしいと思います。


第1回 2011年4月号 松田知己・秋田県美郷町長

行政の目の届かぬところに
郵政事業の持てる力の発揮を

 国有化には戻らないと伺っている。とするならば、民営化した動機の部分を満足させながら、住民が求めている役割をどのように発揮できるかが期待されていると思います。それには、郵政改革法案に示されているユニバーサルサービスの形を早く決めることだと思う。郵便局にお年寄りから若い人まで足を運んで、その結果として地域住民同士のコミュニケーションが生まれ、そのことによって地域全体に生活の安定や安心感が生まれるような機能を発揮できる郵便局になってもらいたいと思っています。