一般社団法人 通信研究会
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今期は、前期に引き続き郵政事業及び電気通信、放送の分野におけるさまざまな施策、情報等について広く国民を啓蒙する活動を展開していきます。
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の中、各国政府は一刻も早い終息に向け連携をしてワクチン、治療薬等の開発を行っています。
政府は“新たな社会Society5.0(ソサエティー5.0)に向けて、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会をめざし、IоT技術により全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服するため提唱しています。人口減少、過疎化が進む日本社会にあって、デジタル技術、人口知能(AI)の開発、5G(第五世代移動通信システム)などの普及が進み、大きく社会が変わろうとしています。これらの技術革新は日本経済の発展に大きく寄与する原動力になると期待されています。
地方創生施策は2期目に入り、引き続き「まち・ひと・しごと人口長期ビジョンと総合戦略」の充実、強化を目指し、少子高齢化、人口減少時代を迎え、地域再生を図るため、地域経済の活性化、雇用機会の創出等を効果的に推進するため、地域が行う自主的かつ自律的な取り組みについて財政・金融等の支援をさまざまに行っています。人口減少問題への取り組みや地域産業基盤の強化、若い世代への就労、結婚、子育てといった具体的な処方箋については、各自治体等の地域特性を生かしつつ課題解決に向け取り組んでいるところですが、特に地方部は少子高齢化や過疎化の最前線であり、地方創生は一億総活躍社会を実現する上で最も緊急度の高い取り組みと位置付けられています。また、全国の郵便局がDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用によって国民生活の安心・安全の拠り所、生活インフラとして、自治体窓口業務の受託、児童・高齢者の見守り、買い物支援などの取り組みの普及促進に取り組むよう求められています。
現在、各自治体はコロナ禍の中で財政調整基金が減少しています。ゆうちょ銀行は資金収益を上げるため外債の比率を高めているところですが、国内で資金の循環を図るために、効果的に各自治体へ資金の貸付などを行うことで、日本郵政グループとして社会貢献できるものと思います。郵政民営化法第182条では、「国は郵政民営化に伴い、借り入れまたは地方債の発行による地方公共団体の資金の調達に支障を生じることのないように適切に配慮するもの」と配慮義務があります。
平成24年4月に成立した郵政民営化法等改正法の趣旨は日本郵政グループ各社のシナジー効果を活かし効率的なグループ運営を発揮することを目指したものと受け取られていますが、民営化に伴う効率性、収益性という側面と、ユニバーサルサービスの提供という公共的側面を含み、株主利益の最大化と地域性及び公共性は二律背反的な命題であり、バランスのとれた経営が求められています。かんぽ生命保険契約で不適正募集が発覚し総務大臣及び金融庁から行政処分を受けた背景には、民営分社化の影響により効率性、収益性、経済効率を強く求められた結果、不適正募集が行われ、引き続き信頼回復に邁進しているところです。ゆうちょ銀行及びかんぽ生命保険は、「民営化法による規制」と「業法による規制」と2重の上乗せ規制が課せられ、手足を縛られて競争をしている状況で、新規商品を販売しようにも、認可制の壁があり、届出制に移行するためには金融2社の株式を50%超処分することが求められています。
昨年8月20日にかんぽ生命保険は自己株の消却等を繰り返すことにより、日本郵政の保有比率を49.9%に引き下げましたが、新規商品の扱いについては、民営化法により、他の民間金融機関への配慮義務が課されており、又、具体的な事前届け出制の在り方も決められていませんでした。
郵便局ネットワークは、全国津々浦々に張り巡らされ有人窓口の特性を持ち、国民生活の重要な生活の拠点であるという認識の下、今後、地域経済への活性化施策と生活の利便性を創出する新たなビジネスモデルの構築が必要です。
当法人として、厳しい経営環境の下、より良い経営形態の在り方、自治体との関係、ICT技術を活用した郵便局サービスの新たな利活用など、さまざまな角度から検証しつつ、地域性や公共性が求められ地域貢献施策を担う郵便局が、地域社会の中で住民の期待に応えられ、さらに三事業を中心としつつも新しいビジネスモデルを構築できるよう提案をしていきたいと考えています。
今後、少子高齢化、過疎化が進む我が国で、都市部と地方部との格差是正を図るためにも、地域社会における郵便局の役割はますます増大をしていくと思われます。
前期に引き続き、日本郵政グループの持つ潜在的な力、企業価値向上、郵便局ネットワークの在り方、郵政事業が発展するための新たな利活用等について調査・研究を行い、その成果を会員及び関係機関に開陳していきたいと考えています。
《今期の事業計画》
Ⅰ 機関誌 逓信『耀(かがやき)』の発行と編集方針について
・ 総務省の施策を中心として郵政事業・電気通信・放送分野等の今後の課題について。
・ 郵政民営化の現状と問題点、郵政改革全般について国会の先生方及び有識者等の意見を掲載。
・ 日本郵政株式会社(各事業会社)の経営戦略について。
・ 郵便局における新しいビジネスモデルの提案について。
・ 郵便局長の取材を通して郵便局の役割、地域密着型郵便局のあり方について。
・ 世界の郵政改革の現状と課題について。
・ 連載企画関係 「政策検証」、「霞が関からのレポート」、「地方創生における地方自治と郵政事業」、「地方創生の今、地域を元気に!」、「政治家の名言・迷言」、「政治コラム」、「健康コラム」、「地域再生の経済学」、「防災関係」、「日本郵政新たな船出」等掲載。
Ⅱ セミナー・研修会の開催
会員各位の多様な要望に応えるべく、郵政事業のみならず、電気通信、放送分野等についても当面の諸問題について勉強する。
Ⅲ 調査・研究会の開催
・ 地域活性化と郵便局の果たす役割について考える委員会の開催
郵便局が持つ全国津々浦々に展開する郵便局ネットワーク、地域特性、三事業を中心とした住民サービスを地域経済の発展に活かすためにはどのような果たすべき役割があるのか検証する
・ 新郵政事業ビジネスモデル調査研究委員会の開催
短期・中期的視点において、諸外国の郵政改革も参考にしながら、郵政事業の在り方を検証し、郵政グループ各社の成長戦略を考究する。
Ⅳ ホームページの充実
・ 当法人のホームページのさらなる充実を図る。
V 公益目的事業
*公1:「競争時代を迎えた国内外における情報通信・金融・物流事業の現状と『地域再生』の視点から見た今後の郵政事業の在り方」の調査研究事業
*公2:ユニバーサルサービスに係る新ビジネスモデルの調査研究事業
*特定寄付: 公益財団法人 通信文化協会
本事業は公益性の観点から郵政事業の戦略的成長を調査研究し、その成果をホームページ等において、広く一般に還元する事業であり「地域社会の健全な発展」を目的とする事業である。
VI 相談窓口について
・ 各種セミナー、講演会等の講師派遣、会員等のさまざまな要望、照会に対応するための「相談窓口」の対応の充実。
VII その他
・郵政事業に係る関係資料の作成。
以上各種事業を通じて当法人の役割は、今後ますます増大し、そのためには正会員、賛助会員の拡大、増強を図り、活発な事業活動を展開していきたい。このような活動から発生する会費収入をはじめとする諸収入を源泉として、さらに有意義な研究活動を続けていき、社会に対する貢献度の高い法人を目指し、会員の皆様方のさらなるご協力を宜しくお願い申し上げます。