一般社団法人 通信研究会
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第55期(自 令和2年4月1日~至 令和3年3月31日)の決算にあたり、当社団の事業概況についてご報告申し上げます。
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国内においても首都圏を中心に緊急事態宣言が発出され、人々の行動変容を促す措置が取られていた。
コロナ感染拡大の影響により、テレワークなどが推奨された結果、人々の生活様式、働き方、社会構造の変革の契機になる可能性が出始めています。
日本列島を襲う豪雨災害は、7月熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生し、多くの家屋が被災し、甚大な被害を受けました。また令和3年2月に福島県沖を震源とする地震が発生し、国民生活に影響が出ました。近年、自然災害が多数発生し、地域での防災、減災対策への取り組みが益々重要になってきています。
政府が推進している地方創生施策は、2期目に入り少子高齢化、人口減少問題について国民意識の共有化を図り、人口減少の歯止めと地域経済縮小の克服をめざし、東京一極集中の是正を行い、地方の復興を図り、若い世代の人達が安心して就労、結婚、子育てができる地域社会を実現することを引き続き目標として、そのために、各自治体は「まち・ひと・しごと創生」として「人口ビジョンと総合戦略」を策定し、大都市圏から地方への人の流れ、関係人口、観光・交流人口の拡大、移住・定住人口の促進をめざし雇用の確保に向け地方創生に取り組んでいるところです。人口減少による過疎地域の拡大、自治体の支所機能の統廃合による公共サービスの低下が散見されるようになりました。
今後、安全、安心、交流の拠点、生活インフラとして地域コミュニティーの中で、郵便局の役割は大きくなっていくものと思います。
現在、郵便局ネットワークにより提供されるユニバーサルサービスについては、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社の責務として法定され、郵便局窓口において金融ユニバーサルサービスを提供することになりました。ユニバーサルサービスは、国民生活に必要不可欠な基礎的サービスを過疎地も含めすべての地域で誰もが利用可能な価格で安定的に提供できることとされ、これらの特徴を併せ持つサービスがユニバーサルサービスであるとされています。しかし、ユニバーサルサービスを提供し続けるのにはコストがかかり、そのコストを誰がどのような形で負担をしていくのかという大きな問題があります。ユニバーサルサービスを維持するということは一定の範囲で赤字サービスを提供し続けるということになるのです。
平成31年4月1日から適用された独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の一部を改正する法律では、郵政事業のユニバーサルサービスの提供を安定的に確保するため郵便局ネットワークの維持を支援するための交付金及び拠出金の制度を新たに創設しました。また機構の名称を「独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構」と改め、令和3年度、日本郵便には2.910億円交付し、今後ユニバーサルサービスを維持していく上において、この交付金・拠出金制度の更なる算定の見直しが必要になってきます。
郵便事業全体の事業収益の長期低落傾向に対して「価格と品質」、ユニバーサルサービスの提供に影響を及ぼさないようにするため郵便法の改正が与野党一致で令和2年11月に成立しました。
ユニバーサルサービスのコスト負担の問題は、将来的には国民全体として捉えていく必要があります。ユニバーサルサービスが課され、日本全国にきめ細かなネットワークを持って、公共サービスを行っているのは郵便局だけです。
郵便局を通信、物流、金融の拠点、さらに社会資本として行政と生活の代行機能を併せ持つことができれば、日本郵政グループの企業価値も向上するものと思われます。
郵政民営化法は日本郵政グループ各社とのシナジー効果を最大限活かし、効率的なグループ運営を発揮することを目指したものと受け取られています。
今後、株主の増加により株主利益の最大化と効率化・合理化、改正法の趣旨である地域性及び公共性をどのように維持していくことができるのか、ますますバランスのとれた経営が求められてきます。
会員のニーズに応えるべく、機関誌『逓信 耀』の誌面をより一層充実させるため、毎月企画編集会議を開催し、焦点を明確にして全国各地に取材を行いました。
編集方針については、日本郵政グループ各社の経営戦略を分析し、郵政民営化法等改正法によって、収益性のみならず公益性及び地域性が求められる郵政事業について、さまざまな角度での検証を行い、その問題点と課題を浮き彫りにしました。また、シリーズ「地方創生のいま、地域を元気に!」では取材を通して地方創生の意義、地域における郵便局の役割等を紹介することができました。さらに「地方創生における地方自治と郵政事業」では、市町村長から郵便局と地方自治体との連携施策、郵便局が地域社会で果たしてきた役割等について意見を伺うことができました。全国の郵便局長にご協力いただき、インタビューや各種座談会等を通じて、地域社会に貢献する郵便局の実像や今後の展望等について掲載することができました。
公益目的事業として行った「日本郵政グループの経営分析2021」(京都大学大学院経済学研究科藤井秀樹ゼミナール 日本郵政企業分析チーム)、「郵便プラットフォーム上のビジネス展開案」(作新学院大学経営学部樋口徹教授 郵政事業戦略研究プロジェックトチーム)等の報告会を開催することができ、いずれも時宜を得た大変有意義な報告会で、資料を関係機関に配布致しました。また全国各地に講師派遣等を行い会員のニーズに応えることができました。
《理事会開催》
○ 第1回
令和2年 4月21日(水)ホテル・ルポール麹町
・令和元年度事業報告及び収支決算(案)について
・公益目的支出計画報告について
・令和2年度総会日程について
・その他
○ 第2回
令和2年 5月25日(月)ホテル・ルポール麹町
・当面の諸課題について
・その他
○ 第3回
令和2年 8月25日(火)ホテル・ルポール麹町
・第1四半期事業報告及び収支決算報告について
・その他
○ 第4回
令和2年11月25日(水)ホテル・ルポール麹町
・第2四半期事業報告及び収支決算報告について
・令和3年度公益目的事業計画変更について
・その他
○ 第5回
令和3年 3月18日(木)ホテル・ルポール麹町
・第3四半期事業報告及び収支決算報告について
・令和3年度事業計画(案)及び収支予算(案)について
・その他
《総会開催》
○令和2年 5月25日(月)ホテル・ルポール麹町
・令和元年度事業報告(案)及び収支決算(案)、会計監査報告
・公益目的支出計画報告等について
・その他
○令和3年 3月18日(木)ホテル・ルポール麹町
・令和3年度事業計画(案)及び収支予算(案)について
・令和3年度公益目的事業計画について
・その他
《調査・研究会》
・日本郵政グループの経営分析2021
京都大学大学院経済学研究科 藤井秀樹教授(日本郵政企業分析チーム)
・郵便プラットフォーム上のビジネス展開案
作新学院大学経営学部 樋口 徹教授(郵政事業戦略研究プロジェクト)
《報告会開催》
○ 令和3年 3月18日(木)ホテル・ルポール麹町
・日本郵政グループの経営分析2021
~中期経営計画の検証と日本郵政グループの今後~
【郵政事業企業分析チーム】
京都大学大学院経済学研究科 藤井秀樹 教授
金沢学院大学 渡邉誠士准教授
○ 令和3年 2月25日(木)ホテル・ルポール麹町
・郵便プラットフォーム上のビジネス展開―使命の達成を可能にするツールの出現―」
【郵政事業戦略研究プロジェクトチーム】
作新学院大学 経営学部 樋口 徹 教授
同 周 楊華特任准教授
同 中川仁美特任准教授
東京成徳大学 経営学部 武井孝介 教授
《資料集作成》
・日本郵政グループの経営分析2021
中期経営計画の検証と日本郵政グループの今後に関する研究報告
・郵便プラットフォーム上のビジネス展開―使命の達成を可能にするツールの出現―」に関する研究報告
≪寄付・寄贈≫ 公益財団法人 通信文化協会
令和2年度事業報告には「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則」第34条第3項に規定する附属明細書「事業報告の内容を補足する重要な事項」は存在しないので、これを作成しない。